蜥蜴のブログ

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蜥蜴転生 ~趣味人間、異世界にて最強を目指す~ 第3話

第1章 異世界

第3話 新たな生活

 

 

 さて、そうと決まったらさっさと卵から出よう。

 決意を固めた後、そう考え卵から出ていると誰かがこちらに向かって歩いてくる音がした。そちらを見てみると、先ほど食料を調達しに行ったリザードマンだと思われる奴がウサギみたいな生き物を5羽ほど持ってきていた。

 

「クルス持ッテキタカラ食エ」

 

 そう言うと、大人リザードマンは5羽のクルスを俺の前に置いた。

 

 え…もしや、あれを食うのか? 生で? 

 現代っ子の俺にはちびっときついんじゃあねぇかなぁ……?

 

「ドウシタ。 食ベナイノカ? 生マレタバカリナンダカラサッサト食ベテちからヲツケロ」

 

 俺にそう促してくるリザードマン。

 

 ええぃ、ままよ!

 食ってやるわぁッ!俺はリザードマン、味覚も変わっているだろう!

 

 むしゃむしゃとラービを喰らう。

 うん…マズくは無いな。

 いや、むしろ美味いぞッ!血の味がどうもクセになる…!

 予想通り味覚も変わっていたか…いや、人間の頃もレバーとかよく食ってたんだしそうでもないのか?いやいや、生の血は……飲んだことないな、うん。

 そもそも生肉なんて食ったら腹壊すし寄生虫もいるしなぁ…。

 

 まぁいい、野生の動物っていうのは生肉を食うのが普通だ。

 なら、そこらへんはどうにかなるのだろう! 

 俺は、考えるのをやめた…。

 

 数分が経ち、5羽全てを俺が食い切ったことを確認すると大人リザードマンは残った骨を持ち去っていった。

 

 家っぽい感じはしないが、ここが家なのか…。

 殻から出た今なら外の世界の全容を掴めるが…これは、大量の藁をテント状に加工しただけのようだ…。骨組みは木の枝か…この様子じゃ少しの衝撃で崩れるな。

 いや、そちらの方が都合が良いのか?ここはリザードマンの集落だ…

 こういうファンタジーの世界に付き物なのは冒険者という職業の者達。

 そうでなくとも魔物とは人間からすれば討伐すべき邪魔者でしかない。

 ならば、そういう者達に追われることもあるだろう。

 そういう時、逃げるためにはあまり凝った家を作らないのも手…ということか?

 しかし、元人間である俺としてはもっと文化的な生活をしたいというのが本音。

 

 やはり、こういう点から考えても強くなるのは必須条件だな。

 その為には、さっさと進化をするのが一番。

 筋トレなども欠かせないし…いや、筋トレは効果があるのか?

 レベルアップをしたからステータスが上がるのか…それともどちらでも上がるのか…。分からないな。

 

 なんにせよ、今はこの睡眠欲に従がい眠るとしよう…。






 明くる日。

 日が出て来て目が覚めた。

 いや、実際太陽と呼ぶかは知らないが俺は太陽と呼ぶことにする。

 

 まぁいい、暇だから何かをしよう。

 そうだ、解析にはレベルがある。

 なら、解析のレベルを上げてみることにしよう。

 その為にはどうすればいいか…分からないが、スキルというのは繰り返し使うことで習熟度が上がる。なら、ひたすら解析をしてみるか。

 ちょうど、地面には雑草が生えてるんだ。

 これを解析してみることにしよう。

 

ヒポ草 すり潰し水と調合することでHPを回復させる薬になる。

 

 ほぅ! これがいわゆる薬草って奴か!

 味は…苦いぞ! 舌が痺れるように痛いッ!

 水と調合しなければ毒なのか⁉生きる上で必要不可欠な酸素でさえそれ単体では害であるように! 薬草もそれ単体では害があるのかッ!

 ならばッ! 家の外にある湖の水を飲み解毒する!

 

 ごくり…水を口に含み口の中にある薬草と混ぜるようにして噛む。

 すると、さっきまで口の中に広がっていた苦みと痛みが消えた。

 

スキル『毒耐性Ⅰ』を獲得しました。

 

 なんだ? 今、声が聞こえたぞ⁉

 男とも女ともとれるような無機質な声ではあったが、確かに聞こえたッ!

 そうか…これがいわゆるレベルアップ音声ッ!

 面白い、もう一度水と混ぜずにヒポ草を食ってやる!

 幸い、ここら一帯の地面をさっき解析してみたがヒポ草ばかりだ!

 何故ヒポ草ばかりが生えているのかは知らないが丁度いい!

 毒耐性があって困ることは絶対にない。

 簡単に治癒が可能で少しの痛みで済む毒とはなんと都合がいい。

 そう思い、数分の間俺はヒポ草を生で食っては水を飲みを繰り返した。 

 

スキル『毒耐性Ⅰ』が、スキル『毒耐性Ⅱ』へ上昇しました。

 

 よしッ!

 これで確実だ…スキルのレベルは繰り返し扱うことで上昇するッ!

 

 ちょうど、地面の草を大量に解析したからな。

 そろそろ解析のレベルも上がって良い頃のハズだ。

 

 毒耐性を解析してフィニッシュだぜッ!

 

『毒耐性Ⅱ』:強度:2までの麻痺毒を無効化する。

 

スキル『解析Ⅰ』が、スキル『解析Ⅱ』へ上昇しました。

 

 よしッ! 

 だが…もうヒポ草では毒耐性のレベルは上がらないだろうな。

 毒耐性のレベルが上がってからはいくらヒポ草を生で食っても苦みも痛みも感じないからな。ということは、ヒポ草の毒の強度は2だった…ということだろう。

 

 そうだ。集中のレベルも上げておきたいな…

 だが、どうすればいいんだろうか?

 

 解析は発動を意識すれば出来たし、毒耐性とかは常時発動されてるし…。

 まぁ、とりあえずステータスの時みたいにやってみよう。

 

(集中!)

 

 …何も変わらない。

 キーワードが違うのか?

 

(『集中』発動!)

 

 おっ! なんか頭が冴えてきたな。

 ってか、集中を発動したら身体から何かが抜かれたような感じがしたが…なんだろうか。もしかしてMPか…?

 

(ステータス)

 

名前 無し ♂

種族 蜥蜴人族:リザードベビー

状態 通常

称号 転生者・世界を越えた者

 

レベル 1/5

HP 10/10

MP  3/5

 

筋力 8

耐久 15(+10)

敏捷 4

魔力 3

魔耐 1

運 12(+10)

 

スキル

 

『言語理解Ⅰ』『集中Ⅰ』『解析Ⅱ』『幸運Ⅰ』『竜鱗Ⅰ』 

 

耐性

 

『毒耐性Ⅱ』

 

 …ふむ、さっきの感覚はMPの消費か。

 ん⁉ いや、違う! MPは今も減り続けているぞッ!

 そうか…集中を発動している間はMPを消費し続ける…のか…。

 そして、俺は意識を失った。





「……ロ! …キロ! 起キロッ!」

 

 どこからか聞こえる重低音のバリトンボイスに俺は寝返りで反応を示す。

 

「…飯ナンダガ、起キナイナラ仕方ナイ。俺ガ食ウカ」

 

 飯…という言葉で、俺の意識は完全に覚醒した。

 がばっ! と起き上がり、起床を知らせる。

 起きたことで自覚したがちょうど腹が減っていたのでこれを逃すのはマズい。

 

「フン、起キテルンジャナイカ。ソレ、サッサト食エ」

 

 再び、クルスが5羽俺の前に置かれる。

 俺はそれを黙ってむしゃむしゃ喰らう。

 俺が食い終わったのを確認すると、大人リザードマンは骨を持ち去っていった。

 

 よし、ステータスを確認してみよう。

 もしMPが回復していたらもう一度集中を試してみよう。

 眠るのにちょうどいいしな。

 

(ステータス) 

 

名前 無し ♂

種族 蜥蜴人族:リザードベビー

状態 通常

称号 転生者・世界を越えた者

 

レベル 1/5

HP 10/10

MP  6/6

 

筋力 8

耐久 15(+10)

敏捷 4

魔力 3

魔耐 1

運 12(+10)

 

スキル

 

『言語理解Ⅰ』『集中Ⅰ』『解析Ⅱ』『幸運Ⅰ』『竜鱗Ⅰ』 

 

耐性

 

『毒耐性Ⅱ』

 

 よし…ちゃんと回復しているな。

 ん…?いや、回復している所ではないぞッ!

 最大値が…上昇しているッ!

 そうか…筋肉を鍛える原理だッ! 筋トレとは筋繊維を一度壊し、タンパク質を摂るコトで筋繊維が太く丈夫になるというモノッ!いわばMPの超回復かッ!

 

 よし、なら…これから毎晩集中を使いMPを使い切ることでMPの最大値を上昇させるとしよう…。ふっふっふ…中々、滾ってきたなぁ!

 

(『集中』発動)

 

 再び頭が冴えてくる感覚と同時に、何かが身体の中から出ていく感覚がする。

 楽しい…楽しいな、こんなにもワクワクするのは久しぶりだ。

 その思いを浮かべると同時に、俺の意識は消えていった。