蜥蜴のブログ

自作小説の投稿など

プロフィール

 

初めまして! トカゲ好きと言います。

実際に蜥蜴が好きで、小学生の頃はよく捕まえたりしてました。

まぁ…今も積極的に探しに行く事がないだけで見かけたら捕まえるんですが。

 

ラノベが大好きです。趣味でweb小説を書いています。
現在、「カクヨム」と「小説家になろう」でオリジナル小説を投稿しています。
書いているのはよくある異世界チートモノです。

小説家になろう」で投稿しているのは

『日陰者は英雄を目指し異世界へ』

カクヨム」で投稿しているのは

『蜥蜴転生 ~趣味人間、異世界にて最強を目指す~』 です。

その時の気分でペンネームを変えてしまっているので作者名が微妙に違いますが、二つとも自分が書いた作品です。

成り上がりや成長チート系は大好きで、ガチャチート系は苦手です。
特に好きなのはスキルやステータス、レベリングや進化などのRPG要素がある小説です。

 

ブログを始めたのは、趣味の小説執筆で小遣いを稼げないだろうか? 

と思ったことがきっかけです。

とは言っても所詮趣味なので初心者ですけどね(笑)

 

これからは、「ブログ」でも自作小説を公開しようと思っているので、読んでいただければ幸いです。

 

上に書いてある2作品のリンク貼っときますので良ければ高評価お願いします。

 

蜥蜴転生 ~趣味人間、異世界にて最強を目指す~(ジャック) - カクヨム

 

https://ncode.syosetu.com/n0148ez/

 

箇条書きですが自分の情報を以下に記載して置きます。

 

ペンネーム:ジャックあるいはJACK・トカゲ好き

年齢:10~20歳の間のどこか

住居:日本

好きな食べ物:刺身など魚介類

好きな音楽のジャンル:ロック

好きなアーティスト:ワンオク、X JAPANFALL OUT BOYなど

好きなアニメ:ジョジョシリーズ、SAOシリーズ、とあるシリーズ、Fateシリーズなど

好きなラノベダンまち、転スラ、Fateなど

好きなゲーム:RPG系全般、FGO、白猫

 

蜥蜴転生 ~趣味人間、異世界にて最強を目指す~ 第7話

第1章

第7話 不幸な蜘蛛子と巨大猪 

 

 

 「キャオォォン!」

 

 俺に胴体を剣で斬られた…殴られた灰色の犬が鳴き叫びながら宙を跳び、その背を木に打ち付け力尽きる。

 グリードッグという魔物だ。その肉は焼いて食うと中々美味い。

 まぁ、今の所一番美味いのは焼きクルスなんだが、次点には来るな!

 レッドクロウは…そこまででもなかった。

 だけど、毛皮を爪ではぎ取ってマントみたいにそのまま羽織ってみたらわりと暖かかった。まぁ、俺よりも1回りはデカい奴の毛皮なんだし当然か。

 結構毛深い奴だったし…。

 

 まぁいい、そろそろ日も沈む。

 今日はこの辺でしまいだな。

 

経験値を35獲得しました。

転生者の称号により更に経験値を35獲得しました。

 

 レベルは…上がらねぇか。

 レッドクロウを殺してからというモノ、積極的に魔物を襲うようにしているんだが、標的が確実に倒せる格下ばかりだからかレベルはなかなか上がらないし、新しいスキルも一向に手に入らない。

 ちなみに言うと、左手は未だに動かない。

 耐性が全然手に入らないのだ…。

 草とか敵のステータス調べ回ってるから解析のレベルは上がったけどな。

 あと、相も変わらずぼっちだから孤独耐性も上がっている。

 

 既に旅を始めて3日も経っているのにレベルが2上がり9になっただけだ。

 進化をするにはあとレベルを1上げないといけない。

 

 レベルが低いグリードッグ探し回って必死に狩ってたからな。

 レベル5くらいなら無傷で倒せる。今狩ったのもレベル5の逸れグレーウルフだ。

 しかし、もう少し冒険してみてもいいかもしれない。

 

 未知の経験や無謀な闘いに挑んでこそ成長する、というものなのだろうか。

 その点で言えば、日本でも大差ないのかもしれない。

 

 …唯レベルを1上げるだけだ。

 そんなに遅くならないうちに終わるハズ。

 それに、レベル9になってからもう1日経ってる。

 グリードッグも結構な数狩ったと思う!

 

 よしっ! やってやるかッ!

 夜の狩りデビューだッ!






「イィィィィィヤァアアアァァァァァッ!」

 

 俺が間違っていた。

 夜の狩りデビューとかまぁ、なんとかなるだろとか思っていた頃の俺をぶん殴ってやりたい。

 

「キシシシシシシシッ!」

 

 こいつは、ポイズンシュピーネ。

 ステータスも紹介しよう。

 

名前 無し ♀

種族 毒蜘蛛:ポイズンシュピーネ

状態 愉悦・鬱・憤怒

称号 卑劣な者・ドジ

 

レベル 8/30

HP 30/100

MP 8/20

 

筋力 70

耐久 40

敏捷 100

魔力 50

魔耐 35

運 -30(-50)

 

魔法

 

『土魔法Ⅲ』

 

スキル

 

『不運Ⅴ』『粘糸Ⅳ』『鋼糸Ⅲ』『毒撃Ⅱ』 

 

耐性

 

『毒無効』『落下耐性Ⅴ』『土属性耐性Ⅴ』

 

 こいつのHPの損傷は全て自分のドジによるミスだ。

 流石は『不運Ⅴ』とドジの持ち主…今は追われているし奴も俺をいたぶって楽しんでやがるからやらないが、もしこいつと俺が仲間で言葉が通じたとしたらお守りをプレゼントしてやりたいぐらいだ。

 状態にも書いてあるが、奴は今メチャクチャ複雑な気分のようだ。

 奴からすれば弱者である俺をいたぶって楽しんでもいるが、日頃からの自分のドジと不運で鬱だし、それを俺に目撃されしかも憐れまれたのがイラついたんだろう。

 

 そう、俺は奴が自分で吐いた糸に絡まって動けなくなっているところと空から降ってきた木の枝を華麗に躱したはずなのに木で反射して背中に当たるというなんというかもはやギャグの領域の不幸を目の当たりにしてしまい…憐れんでしまったのだ。

 

 もう、こいつ自爆で死ぬんじゃねと思うぐらい見事な不幸っぷりである。 

 なんだかんだ言って、もうじき夜明け。

 そう、夜の狩りデビューだぜぃ!っと張り切って散策に乗り出したはいいが、一晩中こいつから逃げ回るだけで夜が明けてしまいそうなのである。

 

 あ…あいつ帰ってった。

 夜行性魔物だからか?

 まぁ、なんにせよ助かった…言っちゃあ悪いが、あいつが不幸で良かった。

 

スキル『逃亡Ⅰ』を獲得しました。

スキル『俊足Ⅰ』を獲得しました。

称号『チキン』を獲得しました。

 

 あぁ、なんか聞こえッけど眠すぎて何言ってるか分からねぇ。

 今からでも寝なきゃやってらんねぇ…。

 

 昼だし、火とか焚かなくていいや。

 そこらへんで昼寝しよ。

 どうせだから集中も使って…ふぁ~あ。






 心地よい風だ…。

 空は青く染まり周囲はすっかり明るい。

 

「ネスギタ…」

 

 もう午後2時ぐらいの明るさだぞこれはッ!

 今日中には進化を済ませたいのに…。

 

 確実に倒せる奴とか言ってる場合じゃあねぇなこりゃ。

 昼間の魔物なら策を巡らせれば格上でもなんとか倒せる…。

 

 やるっきゃねぇなッ!

 そういや、寝る前スキルがどうたらとか聞こえたような気がするし確認してみるか。己を知り敵を知れば百戦危うからず!ってな。

 

「ステータス」

 

名前 無し ♂

種族 蜥蜴人族:リザードリトル

状態 毒・出血

称号 転生者・世界を越えた者・策士・卑劣な者

   チキン

 

レベル 9/10

HP 5/33

MP  2/13

 

筋力 26

耐久 40(+15)

敏捷 25(+10)

魔力 16

魔耐 14

運 12(+10)

 

スキル

 

『言語理解Ⅰ』『集中Ⅱ』『解析Ⅲ』『幸運Ⅰ』『竜鱗Ⅱ』

『戦術Ⅱ』『直感Ⅰ』『切り裂くⅠ』『威嚇Ⅰ』『武器作成Ⅰ』

『剣術Ⅰ』『盾術Ⅰ』『逃亡Ⅰ』『俊足Ⅰ』 

 

耐性

 

『毒耐性Ⅱ』『酸耐性Ⅰ』『孤独耐性Ⅲ』

 

 おおぅ…なんか、地味に嫌な称号が付きやがったな。

 ってか、俺瀕死状態だな。

 某国民的RPGだったら俺の表示赤くなってんじゃねぇの?

 

 ヒポ草どっかに生えてねぇかな?

 俺の故郷であるリザードマンの集落には群生地があったが…

 あ、そういえば湖の近くにいっぱい生えてたな。

 

 水場の近くがヒポ草の群生地なのか?

 んじゃ、水場探してひとっ走りするか……って、俺出血状態なんだった。

 こんなんじゃ出血が激しくなって死んじまうわ。

 

 あぁ…でも、な~んか水の流れる音がするんだよなぁ。

 それも結構大きく。

 こりゃ相当近いぞ。

 

 思わず周囲を見渡す。

 すると、目測で50メートルぐらい行った先に小川が流れているのが見えた。

 

「アレノオトカ…」

 

 ん~、まぁ…この程度なら走らずともすぐ着くし、焦って走る必要もないか。

 

 到着っと、んじゃ早速解析してみよう。

 

ヒポ草・ポレ草

 

 ポレ草?更に解析してみるか…。

 

ポレ草 多量に水分を含んだ草で、搾って出てきた汁を飲むことで強度:5までの毒を解毒できる。人族の間では、水で薄めた『解毒水』が流通している。

    注 ヒポ草を摂取した1分以内に摂取すると強度:4の毒となる。

 

 おおっ! とうとう左手の毒が治るのかッ!

 やったぞッ!

 

 よ、よし…じゃあまずはヒポ草を噛みながら水を飲んでHPを回復してっと…。

 あれ?傷が治ってないな。

 なんでだ?

 

 一度ステータス見て確認してみるか。

 

「ステータス」

 

名前 無し ♂

種族 蜥蜴人族:リザードリトル

状態 毒・出血

称号 転生者・世界を越えた者・策士・卑劣な者

   チキン

 

レベル 9/10

HP 33/33

MP  2/13

 

 あ、あれぇ?HPは回復してるのになぜ出血は治ってないんだ……って、俺はアホか?飲み薬で外傷が治るかよ…。

 

 もう一度、ヒポ草を解析してみよう。

 外傷についてのことが書かれてなかったのは解析のレベルが1だったからかもしれないからな。

 

ヒポ草 すり潰し水と調合することでHPを回復させる薬になる。患部にヒポ草の汁と水を混ぜたモノをかけることで傷が塞がる。人族の間では『ポーション』という名で流通している。

 

 あ、やっぱりそうなんだ。

 でもどうするかなぁ…耐性はあるんだし汁をかけてから水をかけるっていう2段階作戦で行くか? いやいや、身体中いたるところに怪我してるんだからそれは流石にかったるいな…HPはあるんだし、外傷の方は自然治癒に任せるか!

 

 んじゃ、次はポレ草だな。

 確か、搾って飲むだけだったな。

 

「%#’%”⁉」

 

 痛い!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いッ⁉

 身体が燃えるように熱いぞッ! なんだこれはッ!

 マズいッ!これ以上立っていられないッ!

 なんだッ!なんなんだこれはッ! 喉が焼けるッ!ウグゥッ‼

 

ドサッ

 

「ウグッ…」

 

 何故こうなったかの考察は後にしてどうにかせねばッ!

 

「ウガァァァァッ!!」

 

 痛い、痛すぎるッ!

 

スキル『苦痛耐性Ⅰ』を獲得しました。

 

 クッ…今手に入れたスキルのおかげで若干痛みは和らいだがッ…!

 

「アガアァァァァァッ!!ア…ガ、グ…グソ、ガッ!」

 

 そういえば…ヒポ草を摂取した1分以内に摂取すると強度:4の毒になるんだったか…マズったッ! クソッ…ようやく左手が治ると興奮しすぎたッ!

 

 もう、1分経ったよな………?

 もう…一度、ポレ草の汁を飲むのだッ‼

 

ごくり…

 

スキル『熱耐性Ⅰ』を獲得しました。

スキル『異常耐性Ⅰ』を獲得しました。

スキル『毒耐性Ⅱ』が『毒耐性Ⅳ』へ上昇しました。

称号『アホ』を獲得しました。

 

「…フゥ、ナオッタカ」

 

 左手の腫れと痛み、焼けるようだった喉の痛みと熱が消え、そして40℃の熱を出した時のように熱かった全身も正常な温度に戻った。

 

「ハァ…ハンセイセネバナ」

 

 左手が治る興奮でそれより酷い毒にかかるようなことしてちゃ世話ねぇだろ…。

 ってか、今回のことでいろんなスキルが手に入った。

 あの不名誉な称号に関しては…今回の反省の証として受け取っておこうッ!

 

「サテ、ソコノヤツ。オレヲコロソウトスルンダ…

 コロサレルカクゴガアルンダヨナ?」

「フゴッ…」

 

 何か気配を感じ後ろへ振り向くと、そこには軽自動車ぐらいの体格の猪がいた。

 

 ・・・ヤバくね…?

 

 いや! やってやらぁッ!

 

「オラ、キヤガレブタヤロウッ!」

 

 こういう単純野郎こそ、策に嵌めやすい代表例なんだよッ!

 まずは…逃げるッ!

 

 地形を利用しながら全力で逃げる。

 そして、流し目で猪のステータスを解析。

 

名前 無し ♂

種族 巨猪:ビッグボア

状態 飢餓

称号 単細胞

 

レベル 3/25

HP 100/150

MP 0/0

 

筋力 500

耐久 150

敏捷 30

魔力 0

魔耐 0

運 5

 

スキル

 

『突撃X』 

 

 こ、これが…本物の脳筋ッ!

 つーか…やばい。勝つビジョンがまるっきり浮かばねぇ…

 だが、どうにかしねぇとッ!

 

 …ってか、マジですさまじいな。

 木が次々となぎ倒されるシーンなんてあの有名な恐竜映画でしか見たコトねぇよ。

 

 まぁいい、とりあえず崖を見つけるまで逃げ回るッ!

 そう、作戦は既に立案済みなのだ…作戦名は崖落とし大作戦!

 作戦内容は単純! 崖を見つけるまでひたすら逃げ続け見つけたら闘牛の要領で崖っぷちに誘い込み突き落とすッ! それだけであるッ!

 

 一発でも攻撃を受ければアウト。

 だが、一晩中不幸な蜘蛛子から逃げ回ったおかげで手に入った『逃亡』と『俊足』のおかげで逃げる時限定で敏捷は俺の方が上。

 そう、『逃亡』は文字通り逃げる時だけ効果を発揮するスキルなのだ。

 その効果は、逃亡時敏捷のステータスを2倍にするというモノ。

 

 行けるはずだ。

 奴を倒し、俺は進化するッ!






ステータス

 

名前 無し ♂

種族 蜥蜴人族:リザードリトル

状態 出血

称号 転生者・世界を越えた者・策士・卑劣な者

   チキン・アホ

 

レベル 9/10

HP 5/33

MP  2/13

 

筋力 26

耐久 40(+15)

敏捷 25(+10)

魔力 16

魔耐 14

運 12(+10)

 

スキル

 

『言語理解Ⅰ』『集中Ⅱ』『解析Ⅲ』『幸運Ⅰ』『竜鱗Ⅱ』

『戦術Ⅱ』『直感Ⅰ』『切り裂くⅠ』『威嚇Ⅰ』『武器作成Ⅰ』

『剣術Ⅰ』『盾術Ⅰ』『逃亡Ⅰ』『俊足Ⅰ』 

 

耐性

 

『毒耐性Ⅳ』『酸耐性Ⅰ』『孤独耐性Ⅲ』『苦痛耐性Ⅰ』

『熱耐性Ⅰ』『異常耐性Ⅰ』 

 


蜥蜴転生 ~趣味人間、異世界にて最強を目指す~ 第6話

第1章

第6話 武器を作ろう

 

 

 

「ン…」

 

 微かに聞こえる、パチパチ…という火が燃える音と、僅かに出てきた日によって意識が覚醒する。

 

 仮称『太陽』は微かに見えるのみで、未だ空は薄暗い。

 地球で言う所の朝4時ぐらいの日の出具合だ。

 

「サテ…」

 

 左手は未だに痺れ、痛む。

 ぐっ…と力を籠めようとするが、麻痺して力を籠めることすら出来ない。

 そもそも、感覚が完全に断絶されているのだ。

 この感覚はアルコールを多量に摂取した時に似ていると思う。 

 前にこんな話を聞いた事がある。

 

 かなりの量の酒を飲み家に帰っていると…一瞬顔に電気が走ったような感覚。

 だが、特に痛みは無かったのでそのまま帰った…そして、洗面所に行き鏡で自分の顔を見ると、顔面血まみれな上腫れ上がっていてまるで別人のようだったッ!

 

 という話を。

 ちなみに、何故怪我を負ったのかは分からないそうだ。

 記憶も消し飛び痛覚も消し飛ぶ。

 麻薬にも似たような効果があるが、あぁ…今思えばなぜ俺は春奈ちゃんを止めなかったんだろう。

 明らかに飲み過ぎなのは分かっていたハズなのに…。

 

 ・・・いや、止そう…今更だ。

 未だ僅かに燃える火に砂をかけ消し、泉の水を一口飲む。

 さ、出発だ…。

 

 



 

 …あの泉のある場所を出てからおよそ1時間が経過したが…

 特に戦闘らしい戦闘は無く、食料としてクルスを3羽狩っただけである。 

 ちなみにレベルは上がっていない。

 

 現在地は不明。

 とりあえずの指針としては、武器を調達したいと言った所。

 人間の街へ行ければ武器の調達など容易だろうが、生憎と俺は蜥蜴人リザードマン

 もし見つけたとしても武器を買うコトはおろか街に入ることすら出来ないだろう。

 困った、どうするか…いや、そうだな。

 良いことを思いついた。

 

 あそこにある太い木なんてちょうどいいだろう。

 

バシーンッ!

 

 木の根元に思いっ切り飛び蹴りをかます

 だが、折れることはなく揺れるだけであった。

 

 ま、ですよね…分かっちゃいたよ。

 仕方ない…そこらの手頃な倒木を爪で削って剣にするか。

 

 ガリガリガリガリ

 

 ひたすら動かない左手で木を押さえつけ右手の爪で削り続ける事数時間。

 

 ようやく剣の形になってきた。

 

スキル『武具作成Ⅰ』を獲得しました。

 

 は? スキル武具作成?

 

 ・・・オイ、今まで何時間かは知らねぇが長い間ずっと削ってた俺の努力はどうしてくれるんだァ⁉ えぇッ⁉

 

 くっそぉ…魔物に涙腺があるかは知らんが気分的に泣きたくなってきた。

 どうしてくれんだよ…もう日が暮れちゃうよッ⁉

 

 いや…武器の調達が楽になったと考えよう。

 そうでなければやってられんッ!

 

「『武具作成』」

 

 ふむ…ステータスみたく表示が出てきたな。

 えーっとなになに…?

 

武具作成Ⅰ

 

作成可能武具

 

木製武具 消費MP:5

     消費材料:木の枝

 

 あぁ…なるほどなるほど。

 要は製作過程を省いてくれるのか。

 うん、じゃあ…この出来の悪い自作剣をちゃんとした形にしてくれ。

 

「サクセイ、キノケン!」

 

 当初の予定通り木の剣を選択し、途中まで作った木の剣? を持ちながら発動を宣言すると、持っていた木の剣? が一瞬眩く光り、その光が収まると…そこには、RPGでよく見るような柄の部分や刀身がしっかりとある見事な木剣が出来ていた。

 

 あぁ…もうホント、嫌になる。

 おっと、いかんいかん。ポジティブに行かねば、ポジティブに。

 

 さて…と。

 日も暮れてきたしそろそろ飯を食いたいな。

 

 そうだ、この前火起こしたんだしこれからは焼きクルスにするかッ!

 

 



 うしっ、クルスも3羽確保出来たし火も起こせた。

 あとは飯食って寝るだけっと!

 ってか、流石にレベル上がらねぇな…。

 まぁ、そこまで急いで強くなりたいわけじゃねぇからいいんだがよ。

 

 じゃ、毛皮を爪で剥いで…肉を丸出しにて、串状に加工した木の枝をぶっ刺す!

 そして…それを火にかざしてしばらく待てば、クルスの丸焼きの完成!

 いい焼き色になったところで、早速かじりつく。

 

 瞬間…溢れ出す肉汁。

 肉は淡白でありながら噛み応えがあるぞッ!

 加えて…生で食っていた時のような若干の臭みも消えている…。

 

 こりゃ、予想以上にうめぇな!

 フランスではウサギ肉は高級料理の一つであると聞くが…

 マジに美味いぜこりゃ…それに、今の俺は魔物。

 人間の顎の力より遥かに強力だ。

 その俺でさえ噛み応えを感じるんだ…本当に唯のウサギを見つけたとしてもこれには敵わなそうだなぁ…魔物飯、結構イケるぞ!



 いや、マジに美味かったぜ…。

 地球並みのちゃんとした料理を作れるようになったらどうなっちまうんだろうな…

 そんなコトを考えながら、俺は集中を使い眠りについた。






 翌日。

 朝となり目が覚める。

 太陽は出てきたばかりで周囲はまたもや薄暗い。

 

 魔物としての生存本能か何かか?

 定時の仕事のようにいつもこのぐらいのタイミングで起きるんだが…。

 

 まぁいい、朝起きるのが苦手で春奈ちゃんと知り合うまでは母親に起こされ知り合ってからは春奈ちゃんに起こされていた俺からすればこの定時起床は正直助かる。

 

 え、なに?通い妻ですか馬鹿野郎?

 …今思えば確かにそうだね。うん…小説に夢中になりすぎてて気付かなかったけど、確かに幼馴染でも何でもないのに起こしてくれるとかマジで通い妻だわ。

 

 まぁ、助手だからシェアハウスで一緒に住んでたんだけどねッ!

 だから俺は稼いで春奈ちゃんの家賃も払って春奈ちゃんには家事を任せていたよ。

 俺…家事壊滅的だからねッ! 今はまだ焼くだけだから出来てるけど、凝った料理とか作ることになったら謎の物体Xしか出来ない自信がある。

 

 なんせ、インスタントで失敗する男だからねッ! 

 

 んんッ…過去の振り返りはここまでにして、旅を続けるとしよう!

 えーっと、昨日作った木の剣は…………ない。

 

「ホリーシーッドッ!!!」

 

 オイオイふざけるなよこの野郎。

 どこに遊びに行っちまったっつーんですか…えぇ?オイ。

 

 ないぞ…どこにもない…。

 

 

 へっ、もういい!

 枝なんかそこら中にあるしもう一回作ればいいだけだろッ!

 

「キノケ…」

 

 ちょっと待てよ?

 あの剣、今の俺には長すぎて使えそうにねぇから串にしたんじゃなかったか?

 …そうだ、思い出した。自分でやっといて何はしゃいでんだ俺、馬鹿か。

 

 となると、ただの剣じゃ長いってことだな。

 じゃあ、小剣にするか。

 

「『武具作成』」

 

武具作成Ⅰ

 

作成可能武具

 

木製武具 消費MP:5

     消費材料:木の枝

 

 はい、それでは木の小剣を選択。

 左手は未だに動かないので右手で木の枝を持ち…

 

「キノショートソード、サクセイ!」

 

 発動を宣言する。

 すると、木の剣を作った時と同じく手に持っていた木の枝は光輝き…光が収まったころには…はい、見事な木製のショートソードが出来ましたっと。

 

 うん、これなら自在に振れるな。

 ハァ…一人旅ってのは、結構寂しいモノだな。

 …よくよく考えてみれば、俺の周りにはいつも人がいた。

 それは俺のファンだったり、家族だったり、助手だったりしたけど…

 長時間ずっと一人でいるときってのは、仕事中以外にはなかった…。

 取材のためにアマゾンに行ったりもしたけど、その時は春奈ちゃんがいた。

 

 結構、堪えるな…孤独ってのは。

 

スキル『孤独耐性Ⅰ』を獲得しました。

 

 はは…俺は孤独に強くなりたいんじゃなく、共に旅する仲間が欲しいんだけどな。

 ま、スキルを与えてくれている神様が気を利かせてくれたなら感謝をささげよう。

 

ガサガサッ

 

「ナニモノダ…」

「グルルル…」

 

 全身黒い毛皮に赤い爪と金の瞳を持つ犬…いや、狼か?

 が、俺の前に姿を現した。種族名は…ブラックウルフと言った所じゃないか?

 まぁ、解析すれば分かることか。

 

名前 無し ♂

種族 黒狼族:レッドクロウ

状態 憤怒

称号 レッドクロウの戦士 

 

レベル :10/15

HP :25/30

MP :0/0

 

筋力 30

耐久 8

敏捷 40(+10)

魔力 0

魔耐 0

運 10

 

スキル

 

『直感Ⅰ』『噛みつくⅤ』『切り裂くⅤ』『俊足Ⅰ』

 

 黒狼族ではあったが、少し違ったな。

 部族名みたいなもんかね?

 それにしても…苦笑いせざるをえないな。んだこりゃ…

 強すぎるだろ…これが脳筋って奴か?

 

 敏捷値なんて俺の5倍だし、筋力値も勝ってない。

 耐性と運、魔力関連は勝っているが…俺は魔法を使えんから意味がまるでないぞ…

 

 どうやって勝てばいい…クソッ!

 ふぅ…一度軽く深く息をつき気持ちをリセットする。

 冷静に考えろ、奴の攻撃手段は『噛みつく』と『切り裂く』。

 つまり、肉に噛みつかせれば負けなのだ…なら、腹や顔部分に比べ鱗が厚い背や腕部分を盾に剣で攻撃。

 これで行こう。

 

「ガウッ!」

 

 仕掛けてきたッ!

 腕の鱗を盾にッ!

 

ガキンッ

 

 よし…俺の鱗の硬度は奴の歯よりも上のようだな。

 なら、落ち着いて確実に堅実に守りヒットアンドアウェイで行けば…

 勝機はあるッ!

 

「グァーッ!」

 

 スキル『威嚇』を使用し、目の前の敵を威嚇する。

 遥か昔の中国に孫氏という兵法家がいたらしいが…曰く勝敗は戦が始まる前に決定しているそうだ。そう、奴は所詮性能頼りの獣ッ!知恵ある人に勝てると思うなッ!

 

 まずは…逃げるッ!

 

 木陰や空洞化した倒木を利用し全力で逃げる…。

 そして、数分後。今俺は空洞化した倒木の中にいる。

 

 ふぅ…なんとか撒いたか――――

 

「グルゥ」

 

 今、お前は俺を嘲ったな?

 この程度で俺の鼻を誤魔化せるわけがあるか馬鹿め…と。

 

 ふ…だからテメェは畜生なんだよッ!

 作戦はテメェがまんまとこの倒木の中に入ってきた時点で成功しているのさッ!

 

「クラエッ!シトツッ!」

「キャンッ!」

 

 そう、今回俺が考えた作戦、それは…言葉にしてみれば簡単な事である。

 逃げ回りながらいくら速かろうが関係ない、逃げ道のない場所…

 つまり、俺が昨日一日中木を加工していた時に座っていた倒木の中に誘導しまんまと入ってきた瞬間剣で突き刺すッ!それだけである。

 

 といっても、石でも鉄でもないからまだ死んでいないが…

 こいつは耐久値が低い、これだけでも十分弱っただろう。

 

 では…とどめの一撃ッ!

 

「クゥ…ン……」

 

スキル『剣術Ⅰ』を獲得しました。

スキル『盾術Ⅰ』を獲得しました。

スキル『戦術Ⅰ』が『戦術Ⅱ』へ上昇しました。

称号『卑劣な者』を獲得しました。

 

経験値を46獲得しました。

転生者の称号により更に経験値を46獲得しました。

 

リザードリトル』のレベルが5から7へ上昇しました。 

 

 うしっ! 勝った!

 ってか、剣術とか盾術とか獲得出来ちゃったけど…攻撃防いだのたった一回だし剣振ったの2回だけなんだが?こんな簡単にスキルってのはゲットできるのか?

 あぁ…そういえば、転生者の恩恵には経験値倍加のほかにスキル習熟速度倍加ってのもあったな…それの恩恵か。いや、習熟速度だろ?ゲットした後ではないのか?

 まぁ、俺からすれば得するだけだから別にいいんだが。

 

 …ま、なんにせよそろそろ移動するか。

 あ、この狼の死体は持っていこう。肉も食いたいし毛皮も加工できれば服にできるし…あ、でも俺裁縫出来ないわ。

 

 …裁縫の真似事してスキルが手に入ってやりぃー!って展開を期待するか…。

 さて、では旅を続けよう。

 

 

 

 

 

ステータス 

 

名前 無し ♂

種族 蜥蜴人族:リザードリトル

状態 毒

称号 転生者・世界を越えた者・策士・卑劣な者

 

レベル 7/10

HP 29/33

MP  4/9

 

筋力 24

耐久 37(+15)

敏捷 12

魔力 13

魔耐 11

運 12(+10)

 

スキル

 

『言語理解Ⅰ』『集中Ⅱ』『解析Ⅱ』『幸運Ⅰ』『竜鱗Ⅱ』

『戦術Ⅱ』『直感Ⅰ』『切り裂くⅠ』『威嚇Ⅰ』『武器作成Ⅰ』

『剣術Ⅰ』『盾術Ⅰ』 

 

耐性

 

『毒耐性Ⅱ』『酸耐性Ⅰ』『孤独耐性Ⅰ』

蜥蜴転生 ~趣味人間、異世界にて最強を目指す~ 第5話

第1章

第5話 ベビー卒業

 

 

「―――ン、ココ…ハ……」

 

 目が覚め、次第に意識が覚醒していく。

 

「ソウダ…オレハシンカヲシテ…ッテ、コエガ…?」

 

 無意識のうちに喋っていたが、どうやら進化をしたことによって俺はリザードマンの言葉限定ではあるが話せるようになったようだ。

 

 さて、では意識も覚醒したことだしステータスを確認するとしよう。

 

「ステータス」

 

名前 無し ♂

種族 蜥蜴人族:リザードリトル

状態 飢餓

称号 転生者・世界を越えた者・策士

 

レベル 1/10

HP 15/15

MP  7/7

 

筋力 10

耐久 23(+15)

敏捷 4

魔力 5

魔耐 3

運 12(+10)

 

スキル

 

『言語理解Ⅰ』『集中Ⅰ』『解析Ⅱ』『幸運Ⅰ』『竜鱗Ⅱ』

『戦術Ⅰ』『直感Ⅰ』『切り裂くⅠ』 

 

耐性

 

『毒耐性Ⅱ』『酸耐性Ⅰ』

 

 

 おうおう、なんかスキルも増えてるじゃあないか。

 酸耐性…あの芋虫の身体に爪ぶっ刺したから出来たのかな?

 

 まぁいい、レベル1時点でこれだけの強さか。

 やはりベビーから卒業しただけあるな。

 これで将来性も抜群と来たもんだ!

 俺の方針は即戦力よりも大器晩成型の進化。

 やはり、こちらにして正解だったな。

 

 さて、近くに湖とかはあるか?

 あれば自分の姿を確認しておきたいのだが…。

 

 ふむ、目が届く範囲内には無さそうだな。

 だが…微かに水が流れる音が聞こえる。

 これは、わりと近くにあるのかもしれんな。

 

 少し、そこらを散策してみるとするか!

 

 んー、前世でも小説でリアルさを出すために動物や木々の観察に森の探索とかはしたことがあるが…この森は妙に薄暗いな。洞窟から出た時太陽がしっかりと見えたことからまだ朝、あるいは正午ぐらいであると思うが…。

 

 ガサガサッ

 

 む? あれは…クルスか。

 ちょうどいい。進化を終えた反動か腹が減っているし、力を試したい。

 狩らせてもらおうッ!

 

「クークー」

 

 …あぁ、なんだかやる気がなくなる鳴き声だ。

 いや、ウサギには声帯がないのだし鳴き声ではないか?

 …いやいや、この世界のウサギっつーかクルスなんだから声帯があるかもしれんだろう!どれ、一発威嚇してみるか。もしかすればデカい声で鳴くかもしれん!

 

「グァーッ!」

「キュイ―ッ!」

 

 こいつ、予想はしていたが声帯があるッ!

 よし、前世のウサギを思い出す鳴き声ではなくなったところで闘志が湧いてきた!

 

 ここは早速、『切り裂く』を試してみるとするかッ!

 

「『切り裂く』!」

 

 爪を構え、発動を宣言する。

 すると、身体が勝手に動き出し片方の手でクルスを切り裂いた。

 

 …ホントにゲームだな。

 まさかフルダイブ型RPGをプレイしたまま寝落ちしたからその夢を見ているだけか?いやいや、ありえん。俺は春奈ちゃんを庇ってトラックに撥ねられ死んだ。

 あの時の痛みは本物だった…あれが夢だったなんてあり得ない。

 

 やっぱり、この世界は神が創ったゲーム盤のようなモノか。  

 ふっ…なら、精々創造者の機嫌を取っておかねばならないな。

 この世界から追放されないためにも、せっかくの第2の生を謳歌しきる為にもな。

 

スキル『威嚇Ⅰ』を獲得しました。

 

経験値を10獲得しました。

転生者の称号により更に経験値を10獲得しました。

 

リザードリトル』のレベルが1から3へ上昇しました。

 

 …なにも威嚇するの初めてじゃないんだがな。

 あぁ、そうか。格下相手に発動するスキルだから今手に入ったのか。

 ってか、発動とか言わずとも発動したな…

 もしかして、スキルの名前叫ぶだけで良かったのか?

 

「『集中』!」

 

 …恥ずかしッ!

 まぁいいや。

 

「『集中』カイジョ」

 

 さて、問題も解決したところで散策を続けるとしよう。

 

 それから数分、黙って歩いていた俺だが…クルスと何匹か遭遇したが奴らはこちらに向かってくることはなく、散策は滞りなく行う事が出来た。

 そして、現在。

 

 …水の流れる音が近くなってきたな。

 水場は近い、ここからは走るとするかッ!

 

 地面に生える膝下並の雑草を踏みつぶし、所々ある倒木を乗り越えられるサイズのモノは乗り越えていく。

 

「シャァァァッ!」

「チッ!ナンダコンナトキニッ!」

 

 あれは…蛇か。

 こいつは解析して慎重に挑まんとヤバい相手だな。

 

名前 無し ♀

種族 劣等蛇:レッサースネーク

状態 飢餓

称号 無し 

 

レベル :5/10

HP :4/10

MP :20/20

 

筋力 10

耐久 3

敏捷 8

魔力 10

魔耐 10

運 2

 

魔法

 

『毒魔法Ⅲ』

 

スキル

 

『毒の体液Ⅲ』『毒牙Ⅲ』

 

耐性

 

『毒無効』

 

 

 おっと…こいつぁやべぇ相手だな。

 初めての魔法所持者だ。

 

 それに、ステータスにおいても全体的に負けている。

 勝っているのはHPと耐久、それから運だけ。

 

 不幸中の幸いなのはこいつが何故か死にかけって所だな。

 もしかして、腹が限界以上に減るとHPまで減っていくのか?

 いや、当然か。飢餓状態ってのは一種の死にかけ。

 なら、この世界では栄養失調による死亡も後を絶たない感じか。

 

 だが! こんな所で死ぬわけには行かねぇんだよッ!

 来やがれ!蛇公!

 

「グァーッ!」

 

 蛇に対し、スキルを使用しての『威嚇』をする。

 別にスキルを使わずとも威嚇は出来るが、どうせだからレベル上げも兼ねてだ。

 

「シャァァ―――ッ!」

 

 うぐっ…チッ、これが威嚇の効果か。

 薄々分かっていたことだがこいつは俺より格上のようだな。

 俺に威嚇が利いている事からハッキリと分かる。

 だが…コイツのステータス欄には威嚇は無かったが…って、バカか俺はッ⁉

 さっき自分で威嚇した後獲得したばかりじゃあないかッ!

 

 つまり、俺がこいつに負けたらこいつは威嚇を獲得するわけだ。

 ハッ…益々負けるわけには行かなくなったッ!

 

「フッシャッシャッシャ」

 

 こいつッ!笑っていやがる!

 舐めるんじゃねぇドチクショウッ!

 その余裕の笑み、今すぐ消してやるッ!

 

「『切り裂く』!」

 

 何ぃッ⁉ 避けた…だとッ!

 クソッ…なら、石で!

 

 チッ…当たらねぇか。

 

「シャシャシャーッ!」

 

 うぐっ⁉ 左手が…痛い、痺れる…!

 まさか、奴の毒魔法かッ!奴の視線が左手に向いたと思ったがそう言う事かっ!

 

「『集中』!」

 

 なりふり構っておられず集中を発動し、改めて石を投擲する。

 

「フシャァッ⁉」

 

 よしッ!当たった!…って、マズいッ!

 

「『集中』カイジョ!」

 

 危ない危ない…敵も倒さずに気を失っちまうところだった。

 さて…動きが鈍くなっているな。

 今ならスキルを当てられるッ!

 

「『切り裂く』!」

 

 そして、俺のスキルが蛇の胴体を切り裂き蛇は声もなく死んだ。

 

スキル『集中Ⅰ』が『集中Ⅱ』へ上昇しました。

 

経験値を27獲得しました。

転生者の称号により更に経験値を27獲得しました。

 

リザードリトル』のレベルが3から5へ上昇しました。

 

 早くも半分か…まぁ、どうせここからが長いんだけど。

 

 さて、邪魔者は消えた。

 奴の毒が水を飲んで治るモノであればいいんだが…

 

 ごくり…

 

 クソ…! 治らないかッ!

 どうにか…どうにかせねば。

 解毒するには…どうすればいいッ⁉

 

 そうだ…解毒薬を作ればいい。

 だが…それに必要な薬草が都合よく生えているモノなのかッ⁉

 

 いや、生えているハズだッ!

 解析ッ!

 

 クソッ…無い。

 

 いや………違う!そうじゃないッ!

 俺が解析すべきモノは…解毒方法ではないッ!

 即座に自分のステータスに書いてある状態を確認する。

 

状態 毒

 

 そして、この毒を更に解析する。

 

毒:強度3 即効性の毒。痺れと痛みを引き起こす。死に至るほどではない。

 

 よしッ!一度冷静に考えて良かった。

 それに、この程度の痺れと痛みならヒポ草で慣れたわッ!

 要は即効で治せないだけのヒポ草ッ!

 耐性が出来るまで我慢すればいいだけのことだろうッ⁉

 

 さて、左手が包丁で軽く切った時みたくジンジンと痛むし麻痺してピクピクと痙攣してしまっているが自分の姿を確認してみるとしよう。

 濃い緑色の鱗につぶらな瞳、小学1年の痩せ気味男子ぐらいの体格だな。

 …さっさと進化したい所だな。

 こんなんじゃ全然カッコよくない。

 カッコいいどころかむしろ可愛いぞ。

 あぁ…いや、人間と親しくなるためにはこれぐらいの方が良いのか?

 いやいや、俺は最強を目指しているんだぞ?

 そんなんじゃダメだろ。

 

 パンパンッと両頬を軽く叩き、気を引き締める。

 

「シャッキリセネバナ…」

 

 さて、これからどうするか…。

 リザードマンの集落に戻るか?

 いや、正直探す意味がヒポ草の群生地以外に見出だせない。

 うん、そこらを散策するついでにもし見つけたら立ち寄るとしよう。

 

 これからのとりあえずの指針を決めた所で、今日はもう遅いな。

 日も大分沈んできている。

 これ以上散策を続けるのは危険だな。

 まして、俺の左手は今使えない状態にある。

 

 今日はここで野営とするか。

 火を焚いておけば魔物達も近づいてこないだろう。

 

 そう決めた俺は、枝を大量にかき集めそれらの中からとりわけ太い枝を二本選抜。

 そしてその二本をこすり合わせ摩擦を利用し火を起こす。

 その上にかき集めた大量の枝を乗せれば、薪の完成だ。

 

 よし、集中による気絶で今日も眠るとしよう。

 

「『集中』」










ステータス 

 

名前 無し ♂

種族 蜥蜴人族:リザードリトル

状態 毒・気絶

称号 転生者・世界を越えた者・策士

 

レベル 5/10

HP 11/30

MP  0/7

 

筋力 20

耐久 33(+15)

敏捷 8

魔力 9

魔耐 7

運 12(+10)

 

スキル

 

『言語理解Ⅰ』『集中Ⅱ』『解析Ⅱ』『幸運Ⅰ』『竜鱗Ⅱ』

『戦術Ⅰ』『直感Ⅰ』『切り裂くⅠ』『威嚇Ⅰ』 

 

耐性

 

『毒耐性Ⅱ』『酸耐性Ⅰ』

蜥蜴転生 ~趣味人間、異世界にて最強を目指す~ 第4話

 

第1章

第4話 幼蜥蜴喰らい

 

 

 意識が芽生えてから二日が経過した。

 所で、言いたいことがある。

 

(ここはどこだぁぁぁぁぁッ⁉)

 

 そう、昨日『集中』を使い最大MPを上げようと気絶。

 そして目を覚ましたら…まるで知らない洞窟の中に居ましたとさ。

 

 いや、訳が分からないヨッ⁉

 自分で自分にツッコミが入る程意味不明な展開。

 これは…一体どういう事なんだ?

 

 まぁいい、こういう時は素数を数えて落ち着くのだ。

 どっかの誰かもそう言っていたハズッ!

 

 1,2,3,5,7…あれ?1は素数じゃないんだったか…?

 いやいや、そんなコトはどうでもよろしい。

 

 さて、自分のあまりのアホさで結果的に冷静になれたのでよろしい。

 まずは周囲を見渡してみよう。

 バスケットボール大の卵の殻が5,6個と…肉がついてもその中に納まるぐらいの小さな骨達…。

 

 解析してみるか。

 

リザードべビーの卵の殻 ワームの大好物

リザードベビーの骨 ワームの大好物の残りカス

 

 ・・・まさか、俺…食料として攫われた?

 気絶してたから俺は攫われてることに気づかず誘拐犯は俺が生きてることに気づかなかったと…? ホリーシーッドッ! 体に傷がない状態で運んでくれたのは嬉しいがさっきから身体の主に胴体に感じるこのめとめとは誘拐犯の唾液かぁッ⁉

 ばっちぃぞこの野郎‼ 帰ってきたら目つぶし喰らわして逃げてやる!

 いや、どんな奴が俺をさらったのか知らねぇけどさ。

 

 ってか、ベビーから卒業するにはどうすればいいんだ?

 やっぱり…魔物倒してレベル上げ?

 きつくね?俺、まだベビーだぜ?

 

 あ…もしや、卵から出た時点でベビーは卒業できたのか?

 俺が変に穴空けて自分からでなければ中で勝手にレベル5まで上がって進化できてたとか? …オーマイガーッド! なんてこった…。

 大人リザードマンが言っていたそろそろってのはそういうことか…!

 

 ん? なんだこの妙な音は…

 ズリ…ズリ…と徐々になにかがこちらに向かってきているぞッ!

 そうか…この洞窟の主、そして俺を攫いやがったクソ野郎かッ!

 

 だが、この音は2足歩行でも4足歩行でも出せない音だ。

 匍匐ほふく前進のような…なにかをずって進むときの音だ。

 まさか、誘拐犯は何者かによって重傷を負わせられたのではッ⁉だとしたらラッキーだぞ!思いもよらない漁夫の利でベビーを卒業できるかもしれない!

 

 そう思った俺は、洞窟の地形を利用し向かってきている何者かの視界の死角に入るように岩壁の影に隠れる。

 

 あれは…なんだ、芋虫…だと?

 そうかッ! 何も動物型や昆虫型だけではない!

 常時身体をずって進む幼虫型を忘れていた!

 

 今、俺の解析はⅡになっている。

 Ⅰの時は自分の情報しか読み取れなかったが…

 

 俺は見れたら儲け物の考えで芋虫を見ながら解析と念じる。

 

名前 無し ♂

種族 芋虫:ワーム

状態 飢餓

称号 幼蜥蜴喰らい 

 

レベル :3/8

HP :5/12

MP :0/0

 

筋力 15

耐久 5

敏捷 2

魔力 0

魔耐 0

運 5

 

スキル

 

『酸の体液Ⅱ』『噛みつくⅠ』

 

耐性

 

『毒耐性Ⅰ』

 

 よしッ!読み取れたぞ!

 恐らく、このワームが俺と同ランクの魔物だから読み取りに成功したのだろう。

 ランクという項目は無いが、ステータスを見る限り俺と同じぐらいの強さだ。

 それに、こいつには魔力というモノがない。

 MPも完全なゼロだ。と言っても、俺が魔法を使えるわけではないが…

 

 さて、どうするか…。

 こいつならワンチャン倒せそうな気がするが…。

 

 1、君子危うきに近寄らず。誰がわざわざ危険を冒すかバカ者!

 2、危険を冒すリスクを考慮しても、進化できるかもしれないメリットは大きい。

 

 さて…俺の選ぶべき道はどちらか…。

 

 ・・・よし、決めた。俺は2を選択するッ!

 

「グァーッ!」

 

 威嚇の意を込めた咆哮をワームに浴びせ、俺はワームの身体に爪を突き刺し抜く。

 すると、グロテスクな液体がブシャーっと噴き出てくる。

 

 ドロ…

 

 何いッ⁉

 洞窟の壁が…溶けた、だとぉッ⁉

 そうか、『酸の体液Ⅱ』というスキルかッ!

 俺の『竜鱗』と同じような種族スキルであるアレか!

 

 チッ…奴の身体に突き刺した爪が溶けている。

 下手に攻撃するとマズいことになるな…。

 

 ならッ! とっておきの策を出してやる!

 え? とっておきの策ってなんだよって?

 へっ…逃げるんだよ~ん!

 

「クァーー!」

 

 口元を歪め、高音から低音へだんだんと下がる鳴き声をあげる。

 これの意味は…挑発であるッ!

 

 そう、俺は何もただ逃げるのではない。

 挑発し怒らせ、敵の思考を単純にし洞窟内で暴れさせ生き埋めにしようという作戦なのだッ!

 

 勿論、逃げるのは俺が洞窟の崩壊に巻き込まれないためである。

 

 全速力で洞窟の出口へ走る。

 幸い、入り組んだ洞窟ではなく…一か所カーブしているだけの洞窟だったので隠れている時から出口は見えていたのだ。

 だから迷う可能性を考慮する必要は皆無ッ!

 

「ギチギチギチギチッ!」

 

 歯ぎしりのような不快音を口から出しながらワームはこちらに向かってズリズリと進んでくる。

 

 洞窟の外へ出ると、俺は石を手に持つ。

 

(『集中』発動!)

 

 そして、集中を発動し狙いを定め石を奴の目玉らしき部分に投げるッ!

 

「ギシャァァ―――ッ!」

 

(『集中』解除!)

 

 集中状態を解きMPの消費を抑える。

 次に、洞窟の隅の方へ石を投げて俺がいる位置を誤認させる。

 

「ギチギチギチッ!」

 

 テメェ、見つけたぞ…と思ったな!

 その喜ばし気な鳴き声で分かるんだよッ!

 だが…テメェが俺だと思っているそれは俺が投げた石!

 そこを思いっ切り攻撃してみろ…そこはさっきテメェの体液で溶けちまった場所!

 洞窟が崩れるぜッ!

 

ドドドドドドドッ‼

 

 ハッハーッ! やりぃー!

 ちょろいぜ!

 

「ギチ…チ…」

 

 何ぃッ⁉ まだ生きている…だとぉッ⁉

 いや、貴様は死ぬのだッ!石を喰らえぃ!

 微かに開いている口に向かって石を全力投球する。

 

「ギ…ギチ…」

 

 よし、今度こそ死んだ。

 絶対死んだ! 死んだよな…?

 

スキル『戦術Ⅰ』を獲得しました。

称号『策士』を獲得しました。

 

経験値を20獲得しました。

転生者の称号により更に経験値を20獲得しました。

 

リザードベビー』のレベルが1から5へ上昇しました。

リザードベビー』のレベルが最大になりました。

進化条件を満たしました。

 

 勝った! 勝ったぞ…ふっふっふ。

 俺は勝ったぞぉぉぉッ‼

 

 ベビーの分際で成体をぶっ殺してやったぞぉぉぉッ!

 

「クァ―ッ‼」

 

 あまりの喜びに勝利の舞的な物を踊りたくなる。

 だが、それは我慢して…と。

 

 こいつ…どうしてやろうか。

 まぁ、ここは喰うっきゃねぇな…。

 腹も減ってるし…って、こいつの体液酸なんだった…。

 食えないじゃん。

 

 んじゃ、進化条件満たしたとか言ってたし早速進化するとしますか。

 

(ステータス)

 

名前 無し ♂

種族 蜥蜴人族:リザードベビー

状態 通常

称号 転生者・世界を越えた者・策士

 

レベル 5/5(MAX) 進化可能↓

HP 8/25

MP  7/7

 

筋力 13

耐久 20(+10)

敏捷 9

魔力 8

魔耐 6

運 12(+10)

 

スキル

 

『言語理解Ⅰ』『集中Ⅰ』『解析Ⅱ』『幸運Ⅰ』『竜鱗Ⅰ』

『戦術Ⅰ』 

 

耐性

 

『毒耐性Ⅱ』 

 

 ふむふむ、割と強くなった気がするな。

 さて…確認すべきものも確認したところで進化したいんだが…

 どうすればいいんだ?

 

 ん? レベルの横に進化可能の文字と下矢印があるな。

 ここを押せばいいのか?

 

 ポチッとな…と。

 

進化先を表示します。

 

【未来】

 

リザードマン』

リザードリトル』

 

【現在】

 

リザードベビー』

 

【過去】

 

 

 ほー…つまり、少年期を経験するか一気に大人になるかって事か。

 …解析したほうが良さそうだな。

 

リザードマン』

 

 蜥蜴人族の最終進化体。

 その爪と鱗は非常に頑丈で、人族の間ではDランクモンスターと言われただの村人の間では非常に恐れられている。

 これになるとこれ以上進化することはなくなる。

 

リザードリトル』

 

 未だ成長しきらぬ蜥蜴人族の進化体。

 爪は短く戦闘力も低い。

 だが、その潜在能力は高く進化先は多岐にわたる。

 

 ふむ…即座に強くなりたいならリザードマンになるべきだが…。

 将来性が無さすぎるな。

 リトル安定だ。ただの村人相手に恐れられる程度じゃ弱すぎる。

 そう思い、リトルに進化すると決心した瞬間、俺の意識は薄れていった…。

蜥蜴転生 ~趣味人間、異世界にて最強を目指す~ 第3話

第1章 異世界

第3話 新たな生活

 

 

 さて、そうと決まったらさっさと卵から出よう。

 決意を固めた後、そう考え卵から出ていると誰かがこちらに向かって歩いてくる音がした。そちらを見てみると、先ほど食料を調達しに行ったリザードマンだと思われる奴がウサギみたいな生き物を5羽ほど持ってきていた。

 

「クルス持ッテキタカラ食エ」

 

 そう言うと、大人リザードマンは5羽のクルスを俺の前に置いた。

 

 え…もしや、あれを食うのか? 生で? 

 現代っ子の俺にはちびっときついんじゃあねぇかなぁ……?

 

「ドウシタ。 食ベナイノカ? 生マレタバカリナンダカラサッサト食ベテちからヲツケロ」

 

 俺にそう促してくるリザードマン。

 

 ええぃ、ままよ!

 食ってやるわぁッ!俺はリザードマン、味覚も変わっているだろう!

 

 むしゃむしゃとラービを喰らう。

 うん…マズくは無いな。

 いや、むしろ美味いぞッ!血の味がどうもクセになる…!

 予想通り味覚も変わっていたか…いや、人間の頃もレバーとかよく食ってたんだしそうでもないのか?いやいや、生の血は……飲んだことないな、うん。

 そもそも生肉なんて食ったら腹壊すし寄生虫もいるしなぁ…。

 

 まぁいい、野生の動物っていうのは生肉を食うのが普通だ。

 なら、そこらへんはどうにかなるのだろう! 

 俺は、考えるのをやめた…。

 

 数分が経ち、5羽全てを俺が食い切ったことを確認すると大人リザードマンは残った骨を持ち去っていった。

 

 家っぽい感じはしないが、ここが家なのか…。

 殻から出た今なら外の世界の全容を掴めるが…これは、大量の藁をテント状に加工しただけのようだ…。骨組みは木の枝か…この様子じゃ少しの衝撃で崩れるな。

 いや、そちらの方が都合が良いのか?ここはリザードマンの集落だ…

 こういうファンタジーの世界に付き物なのは冒険者という職業の者達。

 そうでなくとも魔物とは人間からすれば討伐すべき邪魔者でしかない。

 ならば、そういう者達に追われることもあるだろう。

 そういう時、逃げるためにはあまり凝った家を作らないのも手…ということか?

 しかし、元人間である俺としてはもっと文化的な生活をしたいというのが本音。

 

 やはり、こういう点から考えても強くなるのは必須条件だな。

 その為には、さっさと進化をするのが一番。

 筋トレなども欠かせないし…いや、筋トレは効果があるのか?

 レベルアップをしたからステータスが上がるのか…それともどちらでも上がるのか…。分からないな。

 

 なんにせよ、今はこの睡眠欲に従がい眠るとしよう…。






 明くる日。

 日が出て来て目が覚めた。

 いや、実際太陽と呼ぶかは知らないが俺は太陽と呼ぶことにする。

 

 まぁいい、暇だから何かをしよう。

 そうだ、解析にはレベルがある。

 なら、解析のレベルを上げてみることにしよう。

 その為にはどうすればいいか…分からないが、スキルというのは繰り返し使うことで習熟度が上がる。なら、ひたすら解析をしてみるか。

 ちょうど、地面には雑草が生えてるんだ。

 これを解析してみることにしよう。

 

ヒポ草 すり潰し水と調合することでHPを回復させる薬になる。

 

 ほぅ! これがいわゆる薬草って奴か!

 味は…苦いぞ! 舌が痺れるように痛いッ!

 水と調合しなければ毒なのか⁉生きる上で必要不可欠な酸素でさえそれ単体では害であるように! 薬草もそれ単体では害があるのかッ!

 ならばッ! 家の外にある湖の水を飲み解毒する!

 

 ごくり…水を口に含み口の中にある薬草と混ぜるようにして噛む。

 すると、さっきまで口の中に広がっていた苦みと痛みが消えた。

 

スキル『毒耐性Ⅰ』を獲得しました。

 

 なんだ? 今、声が聞こえたぞ⁉

 男とも女ともとれるような無機質な声ではあったが、確かに聞こえたッ!

 そうか…これがいわゆるレベルアップ音声ッ!

 面白い、もう一度水と混ぜずにヒポ草を食ってやる!

 幸い、ここら一帯の地面をさっき解析してみたがヒポ草ばかりだ!

 何故ヒポ草ばかりが生えているのかは知らないが丁度いい!

 毒耐性があって困ることは絶対にない。

 簡単に治癒が可能で少しの痛みで済む毒とはなんと都合がいい。

 そう思い、数分の間俺はヒポ草を生で食っては水を飲みを繰り返した。 

 

スキル『毒耐性Ⅰ』が、スキル『毒耐性Ⅱ』へ上昇しました。

 

 よしッ!

 これで確実だ…スキルのレベルは繰り返し扱うことで上昇するッ!

 

 ちょうど、地面の草を大量に解析したからな。

 そろそろ解析のレベルも上がって良い頃のハズだ。

 

 毒耐性を解析してフィニッシュだぜッ!

 

『毒耐性Ⅱ』:強度:2までの麻痺毒を無効化する。

 

スキル『解析Ⅰ』が、スキル『解析Ⅱ』へ上昇しました。

 

 よしッ! 

 だが…もうヒポ草では毒耐性のレベルは上がらないだろうな。

 毒耐性のレベルが上がってからはいくらヒポ草を生で食っても苦みも痛みも感じないからな。ということは、ヒポ草の毒の強度は2だった…ということだろう。

 

 そうだ。集中のレベルも上げておきたいな…

 だが、どうすればいいんだろうか?

 

 解析は発動を意識すれば出来たし、毒耐性とかは常時発動されてるし…。

 まぁ、とりあえずステータスの時みたいにやってみよう。

 

(集中!)

 

 …何も変わらない。

 キーワードが違うのか?

 

(『集中』発動!)

 

 おっ! なんか頭が冴えてきたな。

 ってか、集中を発動したら身体から何かが抜かれたような感じがしたが…なんだろうか。もしかしてMPか…?

 

(ステータス)

 

名前 無し ♂

種族 蜥蜴人族:リザードベビー

状態 通常

称号 転生者・世界を越えた者

 

レベル 1/5

HP 10/10

MP  3/5

 

筋力 8

耐久 15(+10)

敏捷 4

魔力 3

魔耐 1

運 12(+10)

 

スキル

 

『言語理解Ⅰ』『集中Ⅰ』『解析Ⅱ』『幸運Ⅰ』『竜鱗Ⅰ』 

 

耐性

 

『毒耐性Ⅱ』

 

 …ふむ、さっきの感覚はMPの消費か。

 ん⁉ いや、違う! MPは今も減り続けているぞッ!

 そうか…集中を発動している間はMPを消費し続ける…のか…。

 そして、俺は意識を失った。





「……ロ! …キロ! 起キロッ!」

 

 どこからか聞こえる重低音のバリトンボイスに俺は寝返りで反応を示す。

 

「…飯ナンダガ、起キナイナラ仕方ナイ。俺ガ食ウカ」

 

 飯…という言葉で、俺の意識は完全に覚醒した。

 がばっ! と起き上がり、起床を知らせる。

 起きたことで自覚したがちょうど腹が減っていたのでこれを逃すのはマズい。

 

「フン、起キテルンジャナイカ。ソレ、サッサト食エ」

 

 再び、クルスが5羽俺の前に置かれる。

 俺はそれを黙ってむしゃむしゃ喰らう。

 俺が食い終わったのを確認すると、大人リザードマンは骨を持ち去っていった。

 

 よし、ステータスを確認してみよう。

 もしMPが回復していたらもう一度集中を試してみよう。

 眠るのにちょうどいいしな。

 

(ステータス) 

 

名前 無し ♂

種族 蜥蜴人族:リザードベビー

状態 通常

称号 転生者・世界を越えた者

 

レベル 1/5

HP 10/10

MP  6/6

 

筋力 8

耐久 15(+10)

敏捷 4

魔力 3

魔耐 1

運 12(+10)

 

スキル

 

『言語理解Ⅰ』『集中Ⅰ』『解析Ⅱ』『幸運Ⅰ』『竜鱗Ⅰ』 

 

耐性

 

『毒耐性Ⅱ』

 

 よし…ちゃんと回復しているな。

 ん…?いや、回復している所ではないぞッ!

 最大値が…上昇しているッ!

 そうか…筋肉を鍛える原理だッ! 筋トレとは筋繊維を一度壊し、タンパク質を摂るコトで筋繊維が太く丈夫になるというモノッ!いわばMPの超回復かッ!

 

 よし、なら…これから毎晩集中を使いMPを使い切ることでMPの最大値を上昇させるとしよう…。ふっふっふ…中々、滾ってきたなぁ!

 

(『集中』発動)

 

 再び頭が冴えてくる感覚と同時に、何かが身体の中から出ていく感覚がする。

 楽しい…楽しいな、こんなにもワクワクするのは久しぶりだ。

 その思いを浮かべると同時に、俺の意識は消えていった。

蜥蜴転生 ~趣味人間、異世界にて最強を目指す~ 第2話

第1章 異世界

第2話 転生

 

 

 意識が深い水底から浮き上がってくる様な感覚を覚えながら俺は目を開ける。

 だが、何も見えない。

 …まさか、意識だけがある植物人間状態になったとか言わないよな?

 腕とかも動かしてみよう。

 …ふむ、しっかり動くな。

 まぁいい、とりあえず… 

 身体は動く、しかし視界は真っ暗。

 つまり、俺は何かの中に閉じ込められている。

 もしくは失明してしまったという可能性があるな。

 じゃあ、とりあえず閉じ込められてる説から検証しようか。

 棺桶的な物だったら、上に持ち上げれば出れるだろう。

 

 …重いな。大分丈夫な物のようだ。

 今度は思い切り殴ってみよう。

 

 ぱきッ! ずぼっ…

 

 貫通してしまった…だが、これで失明した訳ではないというコトが判ったな。

 良かった…これでもし失明してたらラノベが書けなくなる所だった…。

 

 空けた穴から腕を引き抜く。

 それと同時に、真っ暗だった世界に一気に光が差す。

 その光に眼を細めながらも、穴から外を見渡す。

 

 ここは…森か?

 それに、微かに水が流れる音も聞こえる…。

 ということは…最低でも川、もしくは池がある。

 もしかすれば湖の可能性もあるな…。

 林立する木々や地面に生い茂る雑草が見える時点で海の可能性は無いと思うが…。

 

 ガサガサッ

 

 ッ! 何かが動いた音が聞こえた…今この中から出るのは危険だな。

 せめて、こちらに来る何者かがなんであるか分かればいいんだが…。

 

 あれは…なんだ?

 人、いや…蜥蜴か?

 なぜ、蜥蜴が人のように二足歩行をしているんだ…⁉

 クソッ…訳が分からないぞ。

 まさか、リザードマンだなんてことはあり得んだろうし…。

 そんなのは、空想の産物だって現実に居るものではないしな…。

 だが、まぁ異世界系の小説書きとして異世界転生には憧れを抱いてはいたが…っと、やめだやめだ。あり得ないことをいくら空想していても仕方がない。

 

「ン?穴ガ空イテイル…ソウカ、モウスグカ…ヨシ、食料ノ調達ニ行クカ」

 

 喋った⁉ ということは、人間が蜥蜴の着ぐるみを着ているだけか…?

 というか、さっきあの謎生物は俺を見て穴が空いていると言っていた…。

 そして、もうすぐという言葉…。

 まさか、俺は卵の中にいるのでは?

 だが…俺は人間であるから卵生ではない…。

 いや、俺は春奈ちゃんを庇って死んだ…なら、本当に…?

 いやいや、推測だけでモノを語るのは良くない。

 あの謎生物がいなくなってから、自分の顔を水で確認しよう。

 そうすれば、全てがわかるハズだ。

 

 …

 ……

 ………

 

 いなくなったか…。

 よし、立ち上がり水の音がする所まで行こう。

 

 ぱきッ! ずぼっ…

 

 脚の方も貫通した…やはり、卵?

 いや、止せ。推測はどこまでいっても推測に過ぎない。

 事実を確認するのが一番早いのだ。

 

 サラサラという音が聞こえる方へペタペタと歩いていく。

 足の指先の感覚が5本から3本に変わっていて既に違うがやはり顔を見て完全な確信を得ておきたい。そうでなければ、いつまでも未練を残してしまう。

 

 ・・・あぁ、やはり…俺は転生したのか。

 鱗に覆われた身体、足の指は3本となり手の指は5本。

 脚の方には違和感があるが、手の方は何ら違和感はない。

 だが、何より違和感を感じるのは尻の方。

 まだ卵の中にあるから見えないが、確実に尻尾がある。

 しかし、翼は無いようだ。

 

 …うん、どう考えてもリザードマンだな。

 まぁ、まだ身体のほとんどは卵に覆われているから分からないところもあるが。

 

 しっかし…まさか、俺が異世界に転生することになるとはなぁ…。

 それも魔物転生だ…飲み会の時考えていたシナリオじゃあないか…?

 主人公が転生してリザードマンになるって…。 

 まぁ、関係ないとは思うが。

 そうだ。異世界転生、しかも魔物がいるようなファンタジー系と言ったらやはりステータスだろう。出たりするのか…?

 

「グァー!」

 

 …ま、ですよね。

 あの成体と思われるアイツは言語を喋れていたようだが…

 俺はまだいわゆる生まれたて…それも卵。

 赤ん坊が喋れるわけもないか…。

 

 じゃあ、心の声で!

 

(ステータスオープン!)

 

 …ダメか。まぁ、そりゃそうだ…。

 いくら異世界と言えどゲームじゃないんだから、そんなの出るわけないよな。

 

 ………いや、どうも諦めきれん。

 言葉が違うだけだったりしたら哀し過ぎる!

 もう少し試してみようじゃないか!

 

(メニュー!)

 

 …違うか、ならば!

 

(ステータス!)

 

 おっ!

 なんか出た!

 

名前 無し ♂

種族 蜥蜴人族:リザードベビー

状態 通常

称号 転生者・世界を越えた者

   

レベル 1/5

HP 10/10

MP  5/5

 

筋力 8

耐久 15(+10)

敏捷 4

魔力 3

魔耐 1

運 12(+10)



スキル

 

『言語理解Ⅰ』『集中Ⅰ』『解析Ⅰ』『幸運Ⅰ』『竜鱗Ⅰ』

 

 ちょっとちょっと、困るんだけど⁉ 年甲斐もなく興奮してきたんだけど…!

 まぁ、まだ25だけどさ! でも、こういうのに興奮する年代としては少しグレーな年齢だよねぇ! いや、しかしこの世界に前の世界の人間はいない!

 つまり、常識も何もないのだから別にいいというコトだぁッ!

 いやっほぉぉうッ! こういうのに憧れてたんだよぉッ!

 原理だとかそういうのはどうでもいい!憧れてた世界に来れたんだからそんな細かいのはどうでもいいんだよ!物語を書くのは相も変わらず好きだが、それよりも…俺が物語を書き始めた理由たる憧れの世界に来れたんだ…神様が俺をここに送ってくれたなら感謝しよう!いや、もはや崇め奉ろうではないか!…最高だ。

 

 …んんッ!興奮しすぎたな、落ち着け石橋和馬。

 ステイクールだステイクール。

 

 さて、この解析Ⅰというスキル。

 恐らくこれは異世界転生系小説で言う所の鑑定と同じような物だ。

 そして、このⅠはレベルのようなモノ。

 つまり、解析の精度を表すのだろう。

 ということは、まだ精度は悪いと思われるが…0と1の情報差は大きいからな。

 

 よし、決めた。

 解析Ⅰを使いスキルと称号の詳細を見る事にしよう。

 

転生者:獲得経験値、スキル習熟速度倍加

世界を越えた者:様々なトラブルに見舞われる

『言語理解Ⅰ』:同種族の言語を理解する。

『集中Ⅰ』:意識を集中させる。

『解析Ⅰ』:自分の技能や道具を解析する。

『幸運Ⅰ』:レベルが一つ上がる毎に幸運値が10上昇。

『竜鱗Ⅰ』:種族スキル。進化と共にレベル上昇。耐久値が10上昇。

 

 なるほど。

 集中に関しては俺自身の性質が関わっていそうだな。

 幸運か…どれだけの幸運なのかは知らんが、有益な物であってくれ。

 

 そして…問題は称号だ。

 転生者は間違いなく有益であるから良いとして、世界を越えた者…

 てめぇはダメだ。何がダメかってトラブルに見舞われるって所だ。

 ふざけるなチクショウ。まぁいい、これも転生者の定めと言う奴か。

 物語は様々な出来事があってこそ面白くなる。

 そうか、俺は神にその物語の登場人物に抜擢されたわけだ。

 だから前世の記憶を所持できているし称号による恩恵がある。

 いいだろう…しかし、主人公の座はこの石橋和馬のモノだ。

 モブになんざなってやるモノかッ!

 

 待っていろ神様…絶対に強くなってアンタらの期待を越えてやる!