蜥蜴のブログ

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蜥蜴転生 ~趣味人間、異世界にて最強を目指す~ 第7話

第1章

第7話 不幸な蜘蛛子と巨大猪 

 

 

 「キャオォォン!」

 

 俺に胴体を剣で斬られた…殴られた灰色の犬が鳴き叫びながら宙を跳び、その背を木に打ち付け力尽きる。

 グリードッグという魔物だ。その肉は焼いて食うと中々美味い。

 まぁ、今の所一番美味いのは焼きクルスなんだが、次点には来るな!

 レッドクロウは…そこまででもなかった。

 だけど、毛皮を爪ではぎ取ってマントみたいにそのまま羽織ってみたらわりと暖かかった。まぁ、俺よりも1回りはデカい奴の毛皮なんだし当然か。

 結構毛深い奴だったし…。

 

 まぁいい、そろそろ日も沈む。

 今日はこの辺でしまいだな。

 

経験値を35獲得しました。

転生者の称号により更に経験値を35獲得しました。

 

 レベルは…上がらねぇか。

 レッドクロウを殺してからというモノ、積極的に魔物を襲うようにしているんだが、標的が確実に倒せる格下ばかりだからかレベルはなかなか上がらないし、新しいスキルも一向に手に入らない。

 ちなみに言うと、左手は未だに動かない。

 耐性が全然手に入らないのだ…。

 草とか敵のステータス調べ回ってるから解析のレベルは上がったけどな。

 あと、相も変わらずぼっちだから孤独耐性も上がっている。

 

 既に旅を始めて3日も経っているのにレベルが2上がり9になっただけだ。

 進化をするにはあとレベルを1上げないといけない。

 

 レベルが低いグリードッグ探し回って必死に狩ってたからな。

 レベル5くらいなら無傷で倒せる。今狩ったのもレベル5の逸れグレーウルフだ。

 しかし、もう少し冒険してみてもいいかもしれない。

 

 未知の経験や無謀な闘いに挑んでこそ成長する、というものなのだろうか。

 その点で言えば、日本でも大差ないのかもしれない。

 

 …唯レベルを1上げるだけだ。

 そんなに遅くならないうちに終わるハズ。

 それに、レベル9になってからもう1日経ってる。

 グリードッグも結構な数狩ったと思う!

 

 よしっ! やってやるかッ!

 夜の狩りデビューだッ!






「イィィィィィヤァアアアァァァァァッ!」

 

 俺が間違っていた。

 夜の狩りデビューとかまぁ、なんとかなるだろとか思っていた頃の俺をぶん殴ってやりたい。

 

「キシシシシシシシッ!」

 

 こいつは、ポイズンシュピーネ。

 ステータスも紹介しよう。

 

名前 無し ♀

種族 毒蜘蛛:ポイズンシュピーネ

状態 愉悦・鬱・憤怒

称号 卑劣な者・ドジ

 

レベル 8/30

HP 30/100

MP 8/20

 

筋力 70

耐久 40

敏捷 100

魔力 50

魔耐 35

運 -30(-50)

 

魔法

 

『土魔法Ⅲ』

 

スキル

 

『不運Ⅴ』『粘糸Ⅳ』『鋼糸Ⅲ』『毒撃Ⅱ』 

 

耐性

 

『毒無効』『落下耐性Ⅴ』『土属性耐性Ⅴ』

 

 こいつのHPの損傷は全て自分のドジによるミスだ。

 流石は『不運Ⅴ』とドジの持ち主…今は追われているし奴も俺をいたぶって楽しんでやがるからやらないが、もしこいつと俺が仲間で言葉が通じたとしたらお守りをプレゼントしてやりたいぐらいだ。

 状態にも書いてあるが、奴は今メチャクチャ複雑な気分のようだ。

 奴からすれば弱者である俺をいたぶって楽しんでもいるが、日頃からの自分のドジと不運で鬱だし、それを俺に目撃されしかも憐れまれたのがイラついたんだろう。

 

 そう、俺は奴が自分で吐いた糸に絡まって動けなくなっているところと空から降ってきた木の枝を華麗に躱したはずなのに木で反射して背中に当たるというなんというかもはやギャグの領域の不幸を目の当たりにしてしまい…憐れんでしまったのだ。

 

 もう、こいつ自爆で死ぬんじゃねと思うぐらい見事な不幸っぷりである。 

 なんだかんだ言って、もうじき夜明け。

 そう、夜の狩りデビューだぜぃ!っと張り切って散策に乗り出したはいいが、一晩中こいつから逃げ回るだけで夜が明けてしまいそうなのである。

 

 あ…あいつ帰ってった。

 夜行性魔物だからか?

 まぁ、なんにせよ助かった…言っちゃあ悪いが、あいつが不幸で良かった。

 

スキル『逃亡Ⅰ』を獲得しました。

スキル『俊足Ⅰ』を獲得しました。

称号『チキン』を獲得しました。

 

 あぁ、なんか聞こえッけど眠すぎて何言ってるか分からねぇ。

 今からでも寝なきゃやってらんねぇ…。

 

 昼だし、火とか焚かなくていいや。

 そこらへんで昼寝しよ。

 どうせだから集中も使って…ふぁ~あ。






 心地よい風だ…。

 空は青く染まり周囲はすっかり明るい。

 

「ネスギタ…」

 

 もう午後2時ぐらいの明るさだぞこれはッ!

 今日中には進化を済ませたいのに…。

 

 確実に倒せる奴とか言ってる場合じゃあねぇなこりゃ。

 昼間の魔物なら策を巡らせれば格上でもなんとか倒せる…。

 

 やるっきゃねぇなッ!

 そういや、寝る前スキルがどうたらとか聞こえたような気がするし確認してみるか。己を知り敵を知れば百戦危うからず!ってな。

 

「ステータス」

 

名前 無し ♂

種族 蜥蜴人族:リザードリトル

状態 毒・出血

称号 転生者・世界を越えた者・策士・卑劣な者

   チキン

 

レベル 9/10

HP 5/33

MP  2/13

 

筋力 26

耐久 40(+15)

敏捷 25(+10)

魔力 16

魔耐 14

運 12(+10)

 

スキル

 

『言語理解Ⅰ』『集中Ⅱ』『解析Ⅲ』『幸運Ⅰ』『竜鱗Ⅱ』

『戦術Ⅱ』『直感Ⅰ』『切り裂くⅠ』『威嚇Ⅰ』『武器作成Ⅰ』

『剣術Ⅰ』『盾術Ⅰ』『逃亡Ⅰ』『俊足Ⅰ』 

 

耐性

 

『毒耐性Ⅱ』『酸耐性Ⅰ』『孤独耐性Ⅲ』

 

 おおぅ…なんか、地味に嫌な称号が付きやがったな。

 ってか、俺瀕死状態だな。

 某国民的RPGだったら俺の表示赤くなってんじゃねぇの?

 

 ヒポ草どっかに生えてねぇかな?

 俺の故郷であるリザードマンの集落には群生地があったが…

 あ、そういえば湖の近くにいっぱい生えてたな。

 

 水場の近くがヒポ草の群生地なのか?

 んじゃ、水場探してひとっ走りするか……って、俺出血状態なんだった。

 こんなんじゃ出血が激しくなって死んじまうわ。

 

 あぁ…でも、な~んか水の流れる音がするんだよなぁ。

 それも結構大きく。

 こりゃ相当近いぞ。

 

 思わず周囲を見渡す。

 すると、目測で50メートルぐらい行った先に小川が流れているのが見えた。

 

「アレノオトカ…」

 

 ん~、まぁ…この程度なら走らずともすぐ着くし、焦って走る必要もないか。

 

 到着っと、んじゃ早速解析してみよう。

 

ヒポ草・ポレ草

 

 ポレ草?更に解析してみるか…。

 

ポレ草 多量に水分を含んだ草で、搾って出てきた汁を飲むことで強度:5までの毒を解毒できる。人族の間では、水で薄めた『解毒水』が流通している。

    注 ヒポ草を摂取した1分以内に摂取すると強度:4の毒となる。

 

 おおっ! とうとう左手の毒が治るのかッ!

 やったぞッ!

 

 よ、よし…じゃあまずはヒポ草を噛みながら水を飲んでHPを回復してっと…。

 あれ?傷が治ってないな。

 なんでだ?

 

 一度ステータス見て確認してみるか。

 

「ステータス」

 

名前 無し ♂

種族 蜥蜴人族:リザードリトル

状態 毒・出血

称号 転生者・世界を越えた者・策士・卑劣な者

   チキン

 

レベル 9/10

HP 33/33

MP  2/13

 

 あ、あれぇ?HPは回復してるのになぜ出血は治ってないんだ……って、俺はアホか?飲み薬で外傷が治るかよ…。

 

 もう一度、ヒポ草を解析してみよう。

 外傷についてのことが書かれてなかったのは解析のレベルが1だったからかもしれないからな。

 

ヒポ草 すり潰し水と調合することでHPを回復させる薬になる。患部にヒポ草の汁と水を混ぜたモノをかけることで傷が塞がる。人族の間では『ポーション』という名で流通している。

 

 あ、やっぱりそうなんだ。

 でもどうするかなぁ…耐性はあるんだし汁をかけてから水をかけるっていう2段階作戦で行くか? いやいや、身体中いたるところに怪我してるんだからそれは流石にかったるいな…HPはあるんだし、外傷の方は自然治癒に任せるか!

 

 んじゃ、次はポレ草だな。

 確か、搾って飲むだけだったな。

 

「%#’%”⁉」

 

 痛い!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いッ⁉

 身体が燃えるように熱いぞッ! なんだこれはッ!

 マズいッ!これ以上立っていられないッ!

 なんだッ!なんなんだこれはッ! 喉が焼けるッ!ウグゥッ‼

 

ドサッ

 

「ウグッ…」

 

 何故こうなったかの考察は後にしてどうにかせねばッ!

 

「ウガァァァァッ!!」

 

 痛い、痛すぎるッ!

 

スキル『苦痛耐性Ⅰ』を獲得しました。

 

 クッ…今手に入れたスキルのおかげで若干痛みは和らいだがッ…!

 

「アガアァァァァァッ!!ア…ガ、グ…グソ、ガッ!」

 

 そういえば…ヒポ草を摂取した1分以内に摂取すると強度:4の毒になるんだったか…マズったッ! クソッ…ようやく左手が治ると興奮しすぎたッ!

 

 もう、1分経ったよな………?

 もう…一度、ポレ草の汁を飲むのだッ‼

 

ごくり…

 

スキル『熱耐性Ⅰ』を獲得しました。

スキル『異常耐性Ⅰ』を獲得しました。

スキル『毒耐性Ⅱ』が『毒耐性Ⅳ』へ上昇しました。

称号『アホ』を獲得しました。

 

「…フゥ、ナオッタカ」

 

 左手の腫れと痛み、焼けるようだった喉の痛みと熱が消え、そして40℃の熱を出した時のように熱かった全身も正常な温度に戻った。

 

「ハァ…ハンセイセネバナ」

 

 左手が治る興奮でそれより酷い毒にかかるようなことしてちゃ世話ねぇだろ…。

 ってか、今回のことでいろんなスキルが手に入った。

 あの不名誉な称号に関しては…今回の反省の証として受け取っておこうッ!

 

「サテ、ソコノヤツ。オレヲコロソウトスルンダ…

 コロサレルカクゴガアルンダヨナ?」

「フゴッ…」

 

 何か気配を感じ後ろへ振り向くと、そこには軽自動車ぐらいの体格の猪がいた。

 

 ・・・ヤバくね…?

 

 いや! やってやらぁッ!

 

「オラ、キヤガレブタヤロウッ!」

 

 こういう単純野郎こそ、策に嵌めやすい代表例なんだよッ!

 まずは…逃げるッ!

 

 地形を利用しながら全力で逃げる。

 そして、流し目で猪のステータスを解析。

 

名前 無し ♂

種族 巨猪:ビッグボア

状態 飢餓

称号 単細胞

 

レベル 3/25

HP 100/150

MP 0/0

 

筋力 500

耐久 150

敏捷 30

魔力 0

魔耐 0

運 5

 

スキル

 

『突撃X』 

 

 こ、これが…本物の脳筋ッ!

 つーか…やばい。勝つビジョンがまるっきり浮かばねぇ…

 だが、どうにかしねぇとッ!

 

 …ってか、マジですさまじいな。

 木が次々となぎ倒されるシーンなんてあの有名な恐竜映画でしか見たコトねぇよ。

 

 まぁいい、とりあえず崖を見つけるまで逃げ回るッ!

 そう、作戦は既に立案済みなのだ…作戦名は崖落とし大作戦!

 作戦内容は単純! 崖を見つけるまでひたすら逃げ続け見つけたら闘牛の要領で崖っぷちに誘い込み突き落とすッ! それだけであるッ!

 

 一発でも攻撃を受ければアウト。

 だが、一晩中不幸な蜘蛛子から逃げ回ったおかげで手に入った『逃亡』と『俊足』のおかげで逃げる時限定で敏捷は俺の方が上。

 そう、『逃亡』は文字通り逃げる時だけ効果を発揮するスキルなのだ。

 その効果は、逃亡時敏捷のステータスを2倍にするというモノ。

 

 行けるはずだ。

 奴を倒し、俺は進化するッ!






ステータス

 

名前 無し ♂

種族 蜥蜴人族:リザードリトル

状態 出血

称号 転生者・世界を越えた者・策士・卑劣な者

   チキン・アホ

 

レベル 9/10

HP 5/33

MP  2/13

 

筋力 26

耐久 40(+15)

敏捷 25(+10)

魔力 16

魔耐 14

運 12(+10)

 

スキル

 

『言語理解Ⅰ』『集中Ⅱ』『解析Ⅲ』『幸運Ⅰ』『竜鱗Ⅱ』

『戦術Ⅱ』『直感Ⅰ』『切り裂くⅠ』『威嚇Ⅰ』『武器作成Ⅰ』

『剣術Ⅰ』『盾術Ⅰ』『逃亡Ⅰ』『俊足Ⅰ』 

 

耐性

 

『毒耐性Ⅳ』『酸耐性Ⅰ』『孤独耐性Ⅲ』『苦痛耐性Ⅰ』

『熱耐性Ⅰ』『異常耐性Ⅰ』