蜥蜴のブログ

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蜥蜴転生 ~趣味人間、異世界にて最強を目指す~ 第5話

第1章

第5話 ベビー卒業

 

 

「―――ン、ココ…ハ……」

 

 目が覚め、次第に意識が覚醒していく。

 

「ソウダ…オレハシンカヲシテ…ッテ、コエガ…?」

 

 無意識のうちに喋っていたが、どうやら進化をしたことによって俺はリザードマンの言葉限定ではあるが話せるようになったようだ。

 

 さて、では意識も覚醒したことだしステータスを確認するとしよう。

 

「ステータス」

 

名前 無し ♂

種族 蜥蜴人族:リザードリトル

状態 飢餓

称号 転生者・世界を越えた者・策士

 

レベル 1/10

HP 15/15

MP  7/7

 

筋力 10

耐久 23(+15)

敏捷 4

魔力 5

魔耐 3

運 12(+10)

 

スキル

 

『言語理解Ⅰ』『集中Ⅰ』『解析Ⅱ』『幸運Ⅰ』『竜鱗Ⅱ』

『戦術Ⅰ』『直感Ⅰ』『切り裂くⅠ』 

 

耐性

 

『毒耐性Ⅱ』『酸耐性Ⅰ』

 

 

 おうおう、なんかスキルも増えてるじゃあないか。

 酸耐性…あの芋虫の身体に爪ぶっ刺したから出来たのかな?

 

 まぁいい、レベル1時点でこれだけの強さか。

 やはりベビーから卒業しただけあるな。

 これで将来性も抜群と来たもんだ!

 俺の方針は即戦力よりも大器晩成型の進化。

 やはり、こちらにして正解だったな。

 

 さて、近くに湖とかはあるか?

 あれば自分の姿を確認しておきたいのだが…。

 

 ふむ、目が届く範囲内には無さそうだな。

 だが…微かに水が流れる音が聞こえる。

 これは、わりと近くにあるのかもしれんな。

 

 少し、そこらを散策してみるとするか!

 

 んー、前世でも小説でリアルさを出すために動物や木々の観察に森の探索とかはしたことがあるが…この森は妙に薄暗いな。洞窟から出た時太陽がしっかりと見えたことからまだ朝、あるいは正午ぐらいであると思うが…。

 

 ガサガサッ

 

 む? あれは…クルスか。

 ちょうどいい。進化を終えた反動か腹が減っているし、力を試したい。

 狩らせてもらおうッ!

 

「クークー」

 

 …あぁ、なんだかやる気がなくなる鳴き声だ。

 いや、ウサギには声帯がないのだし鳴き声ではないか?

 …いやいや、この世界のウサギっつーかクルスなんだから声帯があるかもしれんだろう!どれ、一発威嚇してみるか。もしかすればデカい声で鳴くかもしれん!

 

「グァーッ!」

「キュイ―ッ!」

 

 こいつ、予想はしていたが声帯があるッ!

 よし、前世のウサギを思い出す鳴き声ではなくなったところで闘志が湧いてきた!

 

 ここは早速、『切り裂く』を試してみるとするかッ!

 

「『切り裂く』!」

 

 爪を構え、発動を宣言する。

 すると、身体が勝手に動き出し片方の手でクルスを切り裂いた。

 

 …ホントにゲームだな。

 まさかフルダイブ型RPGをプレイしたまま寝落ちしたからその夢を見ているだけか?いやいや、ありえん。俺は春奈ちゃんを庇ってトラックに撥ねられ死んだ。

 あの時の痛みは本物だった…あれが夢だったなんてあり得ない。

 

 やっぱり、この世界は神が創ったゲーム盤のようなモノか。  

 ふっ…なら、精々創造者の機嫌を取っておかねばならないな。

 この世界から追放されないためにも、せっかくの第2の生を謳歌しきる為にもな。

 

スキル『威嚇Ⅰ』を獲得しました。

 

経験値を10獲得しました。

転生者の称号により更に経験値を10獲得しました。

 

リザードリトル』のレベルが1から3へ上昇しました。

 

 …なにも威嚇するの初めてじゃないんだがな。

 あぁ、そうか。格下相手に発動するスキルだから今手に入ったのか。

 ってか、発動とか言わずとも発動したな…

 もしかして、スキルの名前叫ぶだけで良かったのか?

 

「『集中』!」

 

 …恥ずかしッ!

 まぁいいや。

 

「『集中』カイジョ」

 

 さて、問題も解決したところで散策を続けるとしよう。

 

 それから数分、黙って歩いていた俺だが…クルスと何匹か遭遇したが奴らはこちらに向かってくることはなく、散策は滞りなく行う事が出来た。

 そして、現在。

 

 …水の流れる音が近くなってきたな。

 水場は近い、ここからは走るとするかッ!

 

 地面に生える膝下並の雑草を踏みつぶし、所々ある倒木を乗り越えられるサイズのモノは乗り越えていく。

 

「シャァァァッ!」

「チッ!ナンダコンナトキニッ!」

 

 あれは…蛇か。

 こいつは解析して慎重に挑まんとヤバい相手だな。

 

名前 無し ♀

種族 劣等蛇:レッサースネーク

状態 飢餓

称号 無し 

 

レベル :5/10

HP :4/10

MP :20/20

 

筋力 10

耐久 3

敏捷 8

魔力 10

魔耐 10

運 2

 

魔法

 

『毒魔法Ⅲ』

 

スキル

 

『毒の体液Ⅲ』『毒牙Ⅲ』

 

耐性

 

『毒無効』

 

 

 おっと…こいつぁやべぇ相手だな。

 初めての魔法所持者だ。

 

 それに、ステータスにおいても全体的に負けている。

 勝っているのはHPと耐久、それから運だけ。

 

 不幸中の幸いなのはこいつが何故か死にかけって所だな。

 もしかして、腹が限界以上に減るとHPまで減っていくのか?

 いや、当然か。飢餓状態ってのは一種の死にかけ。

 なら、この世界では栄養失調による死亡も後を絶たない感じか。

 

 だが! こんな所で死ぬわけには行かねぇんだよッ!

 来やがれ!蛇公!

 

「グァーッ!」

 

 蛇に対し、スキルを使用しての『威嚇』をする。

 別にスキルを使わずとも威嚇は出来るが、どうせだからレベル上げも兼ねてだ。

 

「シャァァ―――ッ!」

 

 うぐっ…チッ、これが威嚇の効果か。

 薄々分かっていたことだがこいつは俺より格上のようだな。

 俺に威嚇が利いている事からハッキリと分かる。

 だが…コイツのステータス欄には威嚇は無かったが…って、バカか俺はッ⁉

 さっき自分で威嚇した後獲得したばかりじゃあないかッ!

 

 つまり、俺がこいつに負けたらこいつは威嚇を獲得するわけだ。

 ハッ…益々負けるわけには行かなくなったッ!

 

「フッシャッシャッシャ」

 

 こいつッ!笑っていやがる!

 舐めるんじゃねぇドチクショウッ!

 その余裕の笑み、今すぐ消してやるッ!

 

「『切り裂く』!」

 

 何ぃッ⁉ 避けた…だとッ!

 クソッ…なら、石で!

 

 チッ…当たらねぇか。

 

「シャシャシャーッ!」

 

 うぐっ⁉ 左手が…痛い、痺れる…!

 まさか、奴の毒魔法かッ!奴の視線が左手に向いたと思ったがそう言う事かっ!

 

「『集中』!」

 

 なりふり構っておられず集中を発動し、改めて石を投擲する。

 

「フシャァッ⁉」

 

 よしッ!当たった!…って、マズいッ!

 

「『集中』カイジョ!」

 

 危ない危ない…敵も倒さずに気を失っちまうところだった。

 さて…動きが鈍くなっているな。

 今ならスキルを当てられるッ!

 

「『切り裂く』!」

 

 そして、俺のスキルが蛇の胴体を切り裂き蛇は声もなく死んだ。

 

スキル『集中Ⅰ』が『集中Ⅱ』へ上昇しました。

 

経験値を27獲得しました。

転生者の称号により更に経験値を27獲得しました。

 

リザードリトル』のレベルが3から5へ上昇しました。

 

 早くも半分か…まぁ、どうせここからが長いんだけど。

 

 さて、邪魔者は消えた。

 奴の毒が水を飲んで治るモノであればいいんだが…

 

 ごくり…

 

 クソ…! 治らないかッ!

 どうにか…どうにかせねば。

 解毒するには…どうすればいいッ⁉

 

 そうだ…解毒薬を作ればいい。

 だが…それに必要な薬草が都合よく生えているモノなのかッ⁉

 

 いや、生えているハズだッ!

 解析ッ!

 

 クソッ…無い。

 

 いや………違う!そうじゃないッ!

 俺が解析すべきモノは…解毒方法ではないッ!

 即座に自分のステータスに書いてある状態を確認する。

 

状態 毒

 

 そして、この毒を更に解析する。

 

毒:強度3 即効性の毒。痺れと痛みを引き起こす。死に至るほどではない。

 

 よしッ!一度冷静に考えて良かった。

 それに、この程度の痺れと痛みならヒポ草で慣れたわッ!

 要は即効で治せないだけのヒポ草ッ!

 耐性が出来るまで我慢すればいいだけのことだろうッ⁉

 

 さて、左手が包丁で軽く切った時みたくジンジンと痛むし麻痺してピクピクと痙攣してしまっているが自分の姿を確認してみるとしよう。

 濃い緑色の鱗につぶらな瞳、小学1年の痩せ気味男子ぐらいの体格だな。

 …さっさと進化したい所だな。

 こんなんじゃ全然カッコよくない。

 カッコいいどころかむしろ可愛いぞ。

 あぁ…いや、人間と親しくなるためにはこれぐらいの方が良いのか?

 いやいや、俺は最強を目指しているんだぞ?

 そんなんじゃダメだろ。

 

 パンパンッと両頬を軽く叩き、気を引き締める。

 

「シャッキリセネバナ…」

 

 さて、これからどうするか…。

 リザードマンの集落に戻るか?

 いや、正直探す意味がヒポ草の群生地以外に見出だせない。

 うん、そこらを散策するついでにもし見つけたら立ち寄るとしよう。

 

 これからのとりあえずの指針を決めた所で、今日はもう遅いな。

 日も大分沈んできている。

 これ以上散策を続けるのは危険だな。

 まして、俺の左手は今使えない状態にある。

 

 今日はここで野営とするか。

 火を焚いておけば魔物達も近づいてこないだろう。

 

 そう決めた俺は、枝を大量にかき集めそれらの中からとりわけ太い枝を二本選抜。

 そしてその二本をこすり合わせ摩擦を利用し火を起こす。

 その上にかき集めた大量の枝を乗せれば、薪の完成だ。

 

 よし、集中による気絶で今日も眠るとしよう。

 

「『集中』」










ステータス 

 

名前 無し ♂

種族 蜥蜴人族:リザードリトル

状態 毒・気絶

称号 転生者・世界を越えた者・策士

 

レベル 5/10

HP 11/30

MP  0/7

 

筋力 20

耐久 33(+15)

敏捷 8

魔力 9

魔耐 7

運 12(+10)

 

スキル

 

『言語理解Ⅰ』『集中Ⅱ』『解析Ⅱ』『幸運Ⅰ』『竜鱗Ⅱ』

『戦術Ⅰ』『直感Ⅰ』『切り裂くⅠ』『威嚇Ⅰ』 

 

耐性

 

『毒耐性Ⅱ』『酸耐性Ⅰ』